Monday, 11 July 2016

Rosa 'Guirlande d'Amour' Climing Hybrid Musk:薔薇選び長考

庭のとある場所に植えるためのバラを探しています。


条件は、

花色:白
花形:一重またはセミダブル。小輪。房咲き。
開花:繰り返し咲き
香り:中〜強
樹形:シュラブまたはランブラー
耐寒性:USDA Hardiness zone 7a 以下
耐陰性:普通で十分
耐病性:強くないとダメ
樹勢:強いに越した事はない



隣に植えるバラは、パルフェタムール
Rosa 'Parfait Amour'
及び、ランブリング・レクター
Rosa 'Rambling Rector'

近くには、新雪
Rosa 'Shinsetsu'
実はここにどちらかを植えようと思って、野の花
Rosa 'Nonoka'
と、クイーン・オブ・ザ・ムスクス
Rosa 'Queen of the Musks'
を買ってあったんですけど、いざ咲かせてみたらかなりピンクっぽいので今一。
しかしクイーン・オブ・ザ・ムスクス、名前どおり素晴らしい香りでした。いや〜買って良かった。ここではないけどテラス席の近くでぜひ使いたいです。
Rosa 'Queen of the musks'
蕾のときから香っていたけれど、
咲くや否や無惨にもコガネムシの餌食に

野の花の可憐さにも降参です。で、ああ見えて超逞しいんでしょう?いいね〜、いいですね〜。

でもここはもっと真っ白なのがいい。


レーヌ・シャボー(Reine Chabeau)か、ワーテルロー(Waterloo)なんか良いのではないかと思ったのですが、苗がどこにも売ってないじゃないですか。なぜですか?人気ないんですか?

スノーグース(Snow Goose)
Bred by David C. H. Austin (United Kingdom, 1997).
Climber, Large-Flowered Climber.  
Rosa 'Snow Goose'
は、この土地では全く伸びないので、おそらく耐寒性がギリギリなのではないかと思います。(肥料が足りてない?まさか癌腫じゃないでしょうね)今度南向きの石垣の大石と大石の間という、うちの庭で一番暖かい所に植えてみます。最後のチャンスとして。

いっそ別の所用に用意した、
アルバ・メイディランド(Alba Meidiland)
Bred by Marie-Louise (Louisette) Meilland (France, 1986). 
Shrub.  Hybrid sempervirens
Rosa 'Alba Meidiland'

を、ここに使ってしまいましょうか?木の形も葉っぱの濃い緑も好きだし。
でも香りがない、orz、、、

うーん、ここには新雪の香りの無さを補ってくれるような薔薇が欲しいんです。お客さんが門をくぐったら「ふわ〜」っと薔薇が香るように。
いいでしょう?良いじゃないですか。大輪の薔薇は却下。新雪より目立ってはだめです。香りも群香というべき香りがいいんです。小輪で一つ一つの香りは弱いのに、房咲きになって数千も数万もの花が集まったときには周りの空気を満たすような香り。
それにアルバ・メイディランドには、もっとずっと日照条件が悪い別の場所で活躍してもらおうと思っているんですよね。

こういう小輪の薔薇って、庭園素材として必要だと思うんですよ。
古い薔薇には小輪房咲きのツルはたくさんありましたよね。ハイブリッド・ムルティフローラのランブラーなんか。一季咲きですけど。
でも、今はほとんどの木薔薇が四季咲きですから、それと合わせるためにはツルの長さは短くて良いから春以外にも繰り返し咲いてくれないと使いにくいんですよ。
なぜそういう薔薇をもっと作らないんでしょう?
今のブリーダーって一輪一輪がゴージャスな薔薇しか作らないんですか?
大輪の薔薇ばかりでは昭和時代の庭みたいになってしまうでしょうに。
私がずっと欲しいと思っているのは、「返り咲きするランブリング・レクター」みたいな薔薇なんですけど。
私の他にも絶対に需要はあるでしょう?

そうしたら、いました、いました、そういうブリーダーが。
ワーテルローもレーヌ・シャボーも彼の薔薇だったんですね。

ベルギーのルイス・レンズ(Louis Lens)。既に故人でした。残念ながら。
Louis Lens(1924-2001)

薔薇について調べるならまずここから



ブランドもののレンズ・ローズっていうのはこの人の薔薇でしたか。実は一つ持っています。ホームセンターで写真に一目惚れして買った、


ホワイト・サプライズ(White Surprise)
Hybrid Bracteata, Shrub.  
Rosa 'White Surprise'


Rosa 'White Surprise'
確かにSurprisingな感じがします。絶対ルゴサだと分かる葉っぱの中から、ある日いきなり巨大化したカカヤン薔薇の一重の花がパッと開くんですよ。花弁の質感のせいか見る人に強烈な白さを印象づけます。でもよく見るとうっすらとピンクが入っているんですよね。
何と言う可憐さ。




Rosa 'White Surprise'
なかなかきれいな形で開かないのはルゴサの血ですか?



蕾は小さいくせに花が大きいので、「えっ?いつの間に咲いたの?」って感じで軽くびっくりします。
咲くと爽やかで明るい気分にしてくれます。

これは、ロサ・ブラクティアタ(カカヤン薔薇)とロサ・ルゴサの原種間雑種のF1ですって。

やったー、そういうの大好きです。
カカヤンは持ってました。枯らしましたけど。原種なのに耐寒性が無いなんて知らなかったんですよ。フィリピンのバラと言う意味の名前だそうです。

その耐寒性のない南の薔薇と耐暑性のない北のルゴサをかけ合わせて、暑さにも寒さにも強くて黒星病にも無縁のバリバリ強いバラを作ったということですね。
でも虫には喰われるんですよね(泣)。

思い出しても腹が立つ事に、今年の春、芽吹いたばかりの所を毛虫の一群に丸坊主にされました。まだ株も小さいから本当に丸裸に。私の目が行き届かなくて申し訳ない事をしました。
ポールズが上空を覆ってしまったら
ここはもっと日陰になります。
ここに白い薔薇が咲いたら
凄く目立つでしょうけどね
代わりに白いヤマアジサイでも植えますか
でもきっと大丈夫と信じて半日陰の場所に植えたらば、スタートが遅らされたためかつい先日開花しました。

本当に大丈夫か分かりませんよ。耐陰性のデータもないし。ダメだったら速攻救出してもっと日向に植え替えます。この花は日射しの元でこそ美しいと思います。(じゃあなぜ半日陰に植えた?)
というか、これ、ちゃんと育つと2mになるんですか、今更だけどここでは狭いですかね〜、う〜ん。隣(というか上)はポールズヒマラヤンムスク、反対側はエルフルト。一緒に咲いた時マッチしないかもしれません。樹形も育ててみないと分からないですしねぇ。どうせルゴサっぽい丸い茂みになるのではないかと思いますが。




それはさておき、ルイス・レンズの作品中から目ぼしい物をピックアップしてみます。

レーヌ・シャボー(Reine Chabeau)
1994, Hybrid Musk. 
Rosa 'Reine Chabeau' 
白 または 白系、強香、平均花径 3.2cm.  小輪、半八重(花弁数9-16)  春から秋まで断続的に返り咲く  
樹高: 80 - 120 cm 
USDA zone 6b - 10b.  
2倍体
seed:Seagull × Rosa multiflora 'Nana'
pollen:Rosa multiflora 'Nana'



ロザリータ(Rosalita)
1996以前 Hybrid Musk. 
Rosa 'Rosalita'
薄黄色, 黄色い花心, 白く退色する .  中香、ムスク香
平均花径 3.8cm.  小輪、一重(花弁数4-8) 5.7cm.  大きな房咲き、春から秋まで断続的に返り咲く
大きい、つやのある、暗緑色の葉
樹高:120 - 150 cm
USDA zone 6b 及びそれより暖地  
seed:Trier (Hybrid Multiflora, Lambert, 1904) × Surf Rider
pollen:Rosa helenae Rehder & E.H.Wilson


ワーテルロー(Waterloo)
 1996以前 Hybrid Multiflora, Hybrid Musk, Shrub. 
Rosa 'Waterloo' 
クリーム. [白 または 白系]  平均花径、2.54cm、小輪、半八重(花弁数9-16)、 八重 (花弁数17-25)、房咲き、春から秋まで断続的に返り咲く  
直立型.  灰緑色の葉 
樹高:125 to 150 cm  
USDA zone 6b through 9b (default)
seedling of Seagull × Rosa multiflora 'Nana'


エディ・グリム(Hedi Grimm)
2001以前 Hybrid Musk. 
Rosa 'Hedi Grimm'
白 または 白系、中香、平均花径 3.8cm.  小輪、半八重(花弁数9-16), 大きな房咲き、春から秋まで断続的に返り咲く
つる性  
樹高:180 to 250 cm
USDA zone 6b - 9b (default).  

seedling of Seagull × R. multiflora nana


ギルランド・ダムール(Guirlande d'Amour)
1993以前 Climber, Hybrid Musk. 
Rosa 'Guirlande d'Amour' 
白 または 白系、強香、平均花径 3.2cm.  小輪、半八重(花弁数9-16), 大きな房咲き、春から秋まで断続的に返り咲く 
高性、刺に覆われた、つる性、直立
中くらいのややつやのあるミディアムグリーンの葉
樹高:180 - 300 cm 
USDA zone 6b - 9b (default).  
耐病性:非常に高い
2倍体
seed:Seagull
pollen:Rosa multiflora 'Nana' × Moonlight (hybrid musk, Pemberton, 1913)


何とまあ!
全部ハイブリッド・ムスクじゃないですか!
しかも、ロザリータ以外は全部、'シーガル' とロサ・ムルティフローラ 'ナナ' の交配。どんだけこの系統に入れ込んだんでしょう?
好きだったんですね、シーガル。分かります〜。私も好きですから。
彼の追い求めた理想のバラの一つは「返り咲きするシーガル」だったんですね。もしくは「返り咲きするボビー・ジェイムズ(Bobby James)」とか「返り咲きするザ・ガーランド(The Garland)」、「返り咲きするランブリング・レクター(Rmbling Rector)」みたいな薔薇。

先生!私達、気が合いますね!
こういう薔薇が欲しかったんです。

彼は他にも色々作ってますけど、特にハイブリッド・ムスクHMsk)に情熱を傾けたブリーダーだったらしいです。
いいですよねHMsk。
私も気がつけばHMskばかり集めてますよ。良いなと思うと何故かHMskでね。だってここ蓼科では薔薇の咲く6月にドンピシャで梅雨に当たりますから。いくら好きでも花弁が薄くて多くて雨に弱い一季咲きのオールドローズばかり庭に植えてたらこんな悲しい事はありません。
また、こういう高冷地では夏の薔薇も咲きますから。それに秋の薔薇もそれは見事で。ぜひ春以外にも咲く薔薇を選びたいわけです。
それに、(え?消毒ぅ?絶対しないし。)
耐病性が高くないとうちでは生き残れません。HMskは優秀です。

でも疑問なんですけどロザリータとギルランド・ダムール以外は祖先にシーガルとナナしか居ないじゃないですか。これで何でHMskなんですか?シーガルってロサ・モスカータの血が入ってるんでしょうか?

シーガル(Seagull)
1907, Hybrid multiflora, Rambler
シーガルの画像検索すると半八重くらいの花が多い様な気がしますが
うちのシーガルは3年間ほぼ一重です
もしかして肥料が足りてないからでしょうか
ブリーダー:Pritchard (United Kingdom, 1907).
Rambler  
白、雄しべ黄色、強香、一重(花弁数4-8)、大房咲き、一季咲き
つる性、マットな明るい緑の葉 
樹高:520 - 610 cm
USDA zone 5b(よしよし) 及びそれより暖地、耐寒性あり、極めて強健(OK. Good!)  
5倍体(えっ?!)
交配親:
Rosa multiflora Thunb. × Général Jacqueminot (hybrid perpetual, Roussel, 1853)(えっ!?)

シーガルの花粉親があの真っ赤な大輪のジェネラル・ジャクミノ?
それは何かの間違いじゃないの?と思えば、この説には異論があるそうです。それはそうでしょう。

原種ムルティフローラは2倍体、ジェネラル・ジャクミノは4倍体
これでは普通なら3倍体になるはずですが?減数分裂時に何かエラーが起きたということで。

大体、5倍体ってのはいろいろと凄いですね。だからあんなに巨大化するんでしょうか。
Rosa 'Seagull'
でも5倍体のシーガルからよくちゃんと発芽する種子が取れましたね。奇数倍体って不稔性になりそうなものですけど。動物と違ってわりと植物の場合大丈夫なんですね。結果的に大丈夫だった訳だし。

そうはいってもシーガルの種は発芽率は悪かったりするのかもしれません。かなりきれいなローズヒップを鈴なりに付けて秋は見事なんですけどね。
だから「シーガルの実生」と言うワンクッションをおいてから 'ナナ'(多分2倍体)の花粉をかけてみたのでしょうか。それがワーテルローとエディ・グリム。
でも直接 'ナナ'の花粉で発芽したシーガルの実もあって、それにもう一度 'ナナ'を戻し交配したのがレーヌ・シャボー(2倍体)。
'ナナ'の花にムーンライト(2倍体)の花粉で受精させてできた薔薇の花粉を取って、それをシーガルに受粉させたのがギルランド・ダムール(2倍体)。

何と言う執念。というか研究熱心。
本当〜〜〜に、しつこくて熱い性格じゃないとブリーダーなんかやれませんね。そして、マメに正確に記録を取って、整理整頓が得意じゃないと結果なんか出せないでしょうね。



薔薇の倍数性についての記載
http://garden-in-the.rosepink.us/hybridizing/polyploid2.html


'ナナ'は原種のムルティフローラの小型の亜種なのかと思えば、なんとポリアンサで60cmくらいしか伸びない四季咲き。
困ります!そういう紛らわしい名前を付けないでください!
(昔の事だから仕方ないですね)
ムルティフローラの血を引いているのは間違いなさそうですけど、バラ園で偶然発見された交配種らしく祖先は不明。

ロサ・ムルティフローラ 'ナナ'(Rosa multiflora 'Nana')
1875, polyantha
Rosa multiflora 'Nana'
 白、薄いピンク、 強香、小輪、一重(花弁数4-8)、房咲き、春から秋まで断続的に返り咲く  
樹高:30 - 60 cm
USDA zone 6b - 9b (default).  
交配親:不明

交配が不明ならモスカータの血が入ってたりするかもしれなくて、だからハイブリッド・ムスクの親になれるのでしょうか?

いやいや、どうもそれは無理矢理こじつけても無理っぽいですね。

ハイブリッド・ムスクの栽培
http://mohri.la.coocan.jp/rose/jkrs/38/jkrs3813.html

引用》
ハイブリッド・ムスクというグループの名前はロサ・モスカータの交雑種という意味を持つが、この場合はそうではなく‘トリアー’を親として(1)秋にもよく咲き、(2)香よく、(3)庭に植えて美しいバラを目指したジョゼフ.H.ペンバートン師とそのベンタール氏などの後継者たちが作出した一連のバラをハイブリッド・ムスクと称したことによる。‘トリアー’の6代前の片親がロサ・モスカータであるから完全に間違っているわけではないが、‘トリアー’の2代前の親はロサ・ムルティフローラであるからむしろハイブリッド・ムルティフローラと表現したほうがいいという意見もある。事実形質(樹形、花形、実)からみてそのほうが納得出来る品種が多い。

ロサ・モスカータ(Rosa moschata
原種
Rosa moschata
ロサ・ムルティフローラ(Rosa multiflora
原種
Rosa multiflora
ハイブリッド・ムスク(HMsk)の系統においては、ムスクと言うのは名前だけで、実はロサ・モスカータの血は薄い。むしろロサ・ムルティフローラの血を引いていて、返り咲き性があって、ムスクの(?)香りがして、トライア(Rosa 'Trier')を祖先に持つ薔薇をHMskと呼ぶってことになったんでしょうか。更に今では別にトライアの血を引いてなくても良いってことに。

トライア(Trier)
1904, Hybrid Multiflora, Hybrid Musk, Lambertiana, Rambler.  
Rosa 'Trier'

つまりHMskとは、繰り返し咲く、ツルの短いハイブリッド・ムルティフローラのことだと?

そうとでも考えなければレーヌ・シャボーがHMskには分類されないでしょう。多分そういう合意が薔薇業界では得られているんだと想像してます。

では、結局、このルイス・レンズ作の新しいHMskの中からもし選ぶなら?

はい!
ギルランド・ダムール(Guirlande d'Amour)にします。
Rosa 'Guirlande d'Amour'
理由1:私がしょっちゅうお世話になるDave's Gardenで、USDA Zone 6a: to -23.3 °C (-10 °F)での栽培記録有り。岩見沢でも咲いているらしい。イコロにも苗が売っている。耐寒性は大丈夫でしょう。
理由2:この中で一番樹高が高い。寒冷地でも伸びてくれそう。
理由3:耐病性が「非常に高い」。他のも高そうではあるが、そこまで書かれるなら期待しましょう。
理由4:ムスク香とは書いてないが強香と記載。それは無条件に良い事です。例え咲くや否やコガネムシの餌食になっても(泣)。花数が多ければ奴らも喰いきれまい。
理由5:父系祖父に私の大好きな'ムーンライト'が入っている。孫にも期待。

ムーンライト(Moonlight)
1913, Hybrid Musk, Shrub.  
Rosa 'Moonlight'
理由6:間を挟まずシーガルの直接の実生の子。強そう。期待。
理由7:購入可能。そりゃあそうでしょう。入手できなきゃ話にならないですから。
理由8:色々な所で記載が多い。人気がある。と言う事はメリットがあるからで。
理由9:隣の薔薇がパルフェ・タムール(Parfait Amour)なので、ここはアムール(Amour)つながりで。愛の競演ということで。

パルフェタムール(Parfait Amour)'CHEwsinger'
Christopher H. Warner (United Kingdom, before 2009), Shrub
Rosa 'CHEwsinger' or 'Parfait Amour'
紫赤、中心白、小輪、一重(花弁数 4-8)、房咲き、スパイス香、春から秋まで連続的に開花
半光沢性で明るい緑の葉
樹高:250 cm以下
幅:300 cm以内
耐病性:高い

上手く行けば赤紫と白の小輪の薔薇が入り乱れて咲くでしょう、、、
辺りには良い香りが漂って、、、
わーすてき、、、
、、、、
となるいいですねー。

大体、花期が合うかどうかとか、樹形が似合うかどうかとか、葉っぱも似合うかどうか、ツルの太さはどうかとか、手元で咲かせてみないと分からない事だらけです。だからとりあえず買うしかないんですよね。パルフェタムールも情報が少なくて、買ったはいいが正直言ってまだどんな薔薇だか分かっていないんです。まだ咲いてないですし。


こうして、コレクターでもなく、いろんな品種を集めて喜んでいるつもりなんか全然ないのに、手持ちの品種が数ばかり増えて行くんですね。薔薇も、ホスタも。
(うちにズラーッと並んでいるホスタの鉢はそういう訳です。)
June 14, 2014

あ、ホスタで滅びたのは一つだけですけど(グレート・エクスペクテイションズ)、
薔薇は自然淘汰されて着々と数が減っていきますから。

はは。


Thursday, 23 June 2016

2016年6月20日、レ・スリズィエの庭。夏至。



夏至の1日前。
素晴らしい五月晴れ。標高1150mの蓼科の森に強烈な日差しが照りつける。


Clematis 'Arabella' 



Clematis 'Arabella' 
前日は曇りの予報で、6月最後の庭仕事のチャンスと当てにしていたのに、午後から降雨。
幸いなことに梅雨の前半の雨らしく断続的な弱い雨でした。週末ガーデナーとしては手を休める訳にもいかず、雨脚が強まった時にはゴアテックスを着込んで庭仕事を決行しました。その古い山用ジャケットは雨漏りするんですけど、例えずぶ濡れになってもさすがに自分ちの庭で遭難はしないでしょうから。


このコーナーは、駐車場から店のエントランスまでのルート。店に来る人は必ず通る動線沿い。
The Gate of Rosa 'Shinsetsu' (June 20, 2016)

常にお客さんの目に晒される重要な場所なのですが、開墾(と言うかむしろ造成)が追いついていないので植栽に手をつけられずにいた所です。
今回はここを「とりあえず」で良いので何とかするつもりで頑張りました。

作業前、これは5月の写真。五月(サツキ)が咲いています。私が特に好きではないツツジ類の中でも嫌いな部類の花木、サツキ。前のオーナーさんの植えたものです。最も嫌いな朱色のツツジ類はとっくの昔に全部伐採済み。ここに残っているのはマゼンタなのでかろうじて許容。(ああ、軽トラの後ろにお隣のツツジのオレンジ色が、、、)
The Gate of Rosa 'Shinsetsu' (May 23, 2016) 
嫌いな花木でもわざと残しておいた訳は、これを抜いてしまうと後ろの雑草やポット類が玄関から丸見えになるからで、まあ、これがあっても丸見えですけど、心理的なワンクッションになってはいるはず。そういう、人間の目はカメラと違うという事に甘えさせてもらいました。

ここに限らずうちの庭は、あらゆる所が未完成で、あからさまに工事中です。だって資本がないのに一人の週末ガーデナーには手に余る広さの庭を作ろうというのですから。(しかも発想だけは豊かでね、この週末ガーデナーは。何だかエライ複雑な庭を構想しちゃって後が大変。)

そうですね、

去年いらっしゃったお客様は、
「わぁ、こんなに百合が咲いてる、素敵!」とか「名前は知らないけど、この花(アガパンサス)は奇麗ですね〜」とか「この青い花(ロベリア)は何て言う花ですか?これは良いですね。どこかに売ってますか?」とおっしゃって下さったり、ゴールデンウィークにチューリップがずらっと咲いていたので驚いたのか、喜んで写真を撮っていったり(全てポット植えです)という方が結構な確率でいらっしゃいましたので、まあまあ目を逸らす作戦は成功したのではないかと思っていますけど。(希望的観測)

それで、afterの写真。
2016年夏至の前日午前10時。
The Gate of Rosa 'Shinsetsu' (June 20, 2016)

エラツム系の青いデルフィニウムがいきなり出現。品種は‘ロイヤル・アスピレーションズ’
Delphinium 'Royal Aspirations' and 'Actia'
結構立派な株なんですよこれ。花茎の高さが約1m。花は濃いブルーでびしっとタイト。茎はまっすぐで丈夫。花屋でこれの切り花を買ったらかなり良い値段だと思います。ポニーハウスの畑に私の種蒔きデルフィニウムナーサリーがあるんですけど、そこから小さめの株を掘ってきました。大きい株は一番花が終わってから花茎を切った状態でないととても掘り出せそうになかったので。(ああ、写真取れば良かった。デルフィニウムの林立する青い畑 in 蓼科。ポニーママがFacebookにのせてくれてましたが)支柱立てる余裕がなかったので、来週私が北海道から帰って来た時には梅雨の雨の中バタバタ倒れているんじゃないでしょうかね。


そのスターを補助すべく周囲にコール・ド・バレエの皆さんを配置。

ベラドンナ系デルフィニウム水色と白。
オルラヤ・グランディフローラ。
薄い青紫のサルビア・プラテンシス ‘スカイダンス’ (一番花は終わったので切り戻して株分け後移植。また咲くはず。)
足元にはグラウンドカバーとして、パトリオット・ファミリーのホスタを大量投入。
パトリオット1株。ロイヤリスト3株。ミニットマン2株。ファイヤーアンドアイス2株。ファイヤーワークス1株。
パトリオット以外は買ったばかりの小苗なので、ここはナーサリーも兼ねています。
ここのヒューケラはパレスパープルだけにしましょう。今は大小2株。もう少し欲しいですね。
そして花の終わったフロックス・ホワイトパフュームの苗4株。やはりナーサリー代わりにここに。葉っぱの濃い緑も奇麗だし。
緑葉のフウチソウ苗。
プリムラ・ヴルガリス。来春のお楽しみ。
イワシャジン。今秋のお楽しみ。
エゾマツムシソウ(Scabiosa japonica Miq. var. acutiloba)とタカネマツムシソウ(Scabiosa japonica Miq. var. alpina)。どこがどう違うのか身近な所に置いて観察しようと思いまして。二つとも放置気味だったポット苗なのに花を咲かせています。強靭さは保証付き。
それから、カカリアのブルーと言うのをホームセンターで買ったのでどんなものかとここに植えてみました。


後ろのフェンスには昨年7月に移植したバラ '新雪'が、燦然と輝いています。これはまるでベツレヘムの星の様じゃありませんか。






'新雪'は、ほとんど香らないという重大な欠点を除けば、最高のツルバラです。
とにかく強い。圧倒的に強い。病気にも寒さにも日陰にも強い。

仮植えした畑でたいして肥料もやらずもちろん消毒もせず冬囲いもせず鹿にもかじられ。なのに気がつくと大きな白い花が咲いている。

よりによって夏に移植され、移植の時にごっそり枝を落とされても、春先のシュートを軒並みカメムシにやられても、持ち前の樹勢の強さで復活してくる。そして次々に上がる蕾。


剣弁高芯の大きな花は、遠くからでも「あ、バラだ!」と分かる所も良いです。クラシカルな花形。雨にも強いしね。



恐れ入りました。
さすが白いツルバラの傑作との評判通り。
ミスター・ローズ、鈴木省三氏のバラです。
Rosa 'Shinsetsu'
2010年に東京で大苗を購入してから鉢で2年、畑で3年。やっとこの場所が安住の地です。ずいぶんお待たせしたものです。これからは肥料も堆肥も水もせっせと与えるので伸びたいだけ伸びて下さい。



この新雪のゲートの外側が駐車場です。
ここは2週間前に植え込みが終わった所。
Full color east shade border garden
命名、フルカラー・イースト・シェイド・ボーダー。
意図的な密植です。シックさとは程遠いです。
花が咲いていないからつまらないなどとお客さんに言わせまいと、とにかく鮮やかさを追求しました。
フルカラーというのに青がありませんね。葉っぱのブルーは青じゃないですから。青と紫は花の色で出すしかありません。一応端っこに濃紺のロベリアがあります。今は咲いてないですけど、反対端にはリンドウ、真ん中には忘れな草があってブルーを担当してます。
実はホスタもヒューケラもここで株を大きくして株分けしようと狙っています。日の出から正午まで燦々と日の当たる楓の木の下という最高の場所でしょう?


植えたての花壇ばかりだとパッとしませんので、次は植えて3年目のシェイドガーデンを紹介します。
ここは北東のゲート。右に見える道路はうちの敷地の北端に接している国道299、通称メルヘン街道。
奥(西)から手前(東)に向かって山を登ってくる坂道です。
The gate of Rosa 'Seagull'
桜の樹の南に植えたバラ、シーガルが上手くここまで伸びてきてくれれば「シーガルの門」になるはずです。しかしここは鬱蒼とした桜の樹の木陰。耐陰性最強のツルバラ、シーガルと言えど、果たして実現するかどうか。桜もバラも同じバラ科同士で根の競合も激しいでしょうし。

イヤイヤ、シーガルならやってくれると思います。期待してます。樹齢100年を超えるシーガルもあるそうですから、この桜より長生きするかもしれません。桜から十分離して植えたつもりです。両方とも長生きして欲しいのでどちらにも肥料はケチらず与えます。

ゲートの北側のホスタ 'フランシス・ウィリアムズ'。
隣合うグラスは黄金葉風知草。木漏れ日に輝く様は黄金の名に相応しい。
'Hosta 'Frances Williams' and Hakonechloa macra var. aureola
手前、影になったフウチソウをふた周り小さくしたような葉は、野州花石昌。姿がフウチソウとかぶるので移動予定。

これがフウチソウと違うのは、小さな星の様な白い花穂をいくつも立ち上げてくること。雪の結晶のような繊細で美しい花。もうすぐ咲くので楽しみ。
隣の赤いヒューケ(レ)ラは周りの色とのコンビネーションは良いんですが、いかんせん元気がない。もっと茂ってくれないとバランスが悪い。これは確かヒューケレラ 'カッパー・カスケイド'。

反対側から。
Heuchera 'Palace Purpule', Veronica‘Crater Lake Blue’, 'Hosta 'Frances Williams', etc.
左のダークな葉、ヒューケラ 'パレス・パープル'とフランシス・ウィリアムズの間に挟まっている細かい葉っぱは、花の終わったヴェロニカ・オーストリアカ 'クレイターレイク・ブルー'。

さっさと切り戻さないとボサボサで見苦しいですね。切り戻しても返り咲きしないのがガッカリでついつい後回しに。しかしこの花、こんな日陰で予想外に良く咲きました。細かく株分けしても確実に咲くので、その気になれば、宿根草の隙間という隙間に突っ込んで青い花をそこここに散らばって咲かせることも可能(数年後には相当込み合って、株分け植え替えに手間を取られるでしょうが)。超日向からかなりの日陰までOK。乾燥にも弱くはない。その強烈な青色は花期の短さを補って植えるだけの価値有り。応用範囲の広い素材だと思います。
'Hosta 'Frances Williams', Pulmonaria 'Lewis Palmer', Polygonatum odoratum var. variegatum, etc.
フランシス・ウィリアムズの隣には斑入りアマドコロ(もう少し増えて欲しい。来年は増殖モードになるか?)。両者の間の白い点々付きの濃い緑の葉はプルモナリア(多分)ルイス・パルマー。

それにしても、フランシス・ウィリアムズは成長が遅い。そう評判は聞いていましたが。この株は鉢で3年地植え2年。もう少し育ってくれてもいいのに。特に隣のホスタ 'パトリオット'と較べると。
Hosta 'Patriot'
パトリオットもフランシス・ウィリアムズと同じ経歴なんですけど、何ですかこの違い。足元の黄金乙女ギボウシが飲み込まれそうですね。せっかく咲いているティアレラなんかもう完全に飲み込まれています。即急に救出しないと。

こちらが去年、2015年6月の姿
June 14, 2015

2016年6月20日に戻って
Hostas 'Patriot', 'Halcyon', 'Bunchoko', and 'Summer Breeze'
パトリオットの下手のブルーホスタは'ハルション'。隣の小さな緑葉白縁は'文鳥香'、その奥の黄班が'サマー・ブリーズ'
エゴポジウムはそろそろ大規模にリストラしないとやはりヒューケラを枯らしてしまうでしょう。

このノースイースト・シェイド・ボーダーではヒューケラの生育が軒並み悪いです。どの品種も。
これはもしやヒューケラにとって日照が足りなさすぎるのでは?そしてホスタや、もちろんエゴポジウムに押されているからでしょうね。プルモナリアにさえ負けてるかもしれません。弱い。

この場所もフルカラー・ガーデンだったんですけど、ホスタがここまでデカくなると、無理してヒューケラで赤や黄色を入れなくても見応えは十分じゃないでしょうか。ホスタの迫力に対抗するにはそもそもヒューケラは小さすぎる。

ヒューケラは移動しますか。そうすると、主にグリーンの濃淡で表現される、もう少し目に優しいシックな庭になるでしょう。込み合って来たので既に別の場所に移動したヒューケラも結構あります。救い出したヒューケラは日向で養生すればまた別の場所で活用出来ることだし。

どうやらヒューケラは特別に日陰が好きと言う訳ではないんですね。ダメなのは高温多湿で、それ故に低地では半日陰、特に西日を避けた半日陰に植えろと言われているのでしょう。うちでは鉢増ししたポット苗を畑のナーサリーにほったらかしている事も多いですけど、水さえ切らさなければフサフサ茂ってますから。葉焼もしませんね。しかしベストな場所はやはり午前中のみ日の当たる半日陰、適湿の肥沃な土地でしょう。

長くなったので後は端折ります。

ノースイースト・ボーダーの下端。ホスタ 'ダイアナ・リメンバード'と'ジューン'
Hostas 'Diana Remembered' and 'June'


伽羅奢の門
あのー、仮看板のためのポールですけど、ここだと伽羅奢が日陰になるんですけど。
The gate of Rosa 'Gracia'
ノースウェスト・ボーダー。昨年秋に定植。ここもフルカラー・シェイド・ガーデンです。国道299沿いなので、人目を引く事を考えて、いかに鮮やかに、派手にできるかやってみました。
うわー、見本市みたい?リーフマニアがこれでもかと無節操に詰め込んだような。
Full color northwest shade border garden 
都会のまっただ中ならレストランの庭をナチュラル・ガーデンでまとめるのも有りでしょう、雑木林風とか、山野草の庭とか。羊歯の庭とか。そんなスタイリッシュでハイセンスな都会の庭。素敵。
しかしここでそれをやったらただの放置ガーデン(近所に気を使って時々草刈りする程度の)にしか見てもらえない懸念もあり。別荘地のお客さんなんか自分の別荘の庭がまさにそうですから。ほとんど手をかけないのに勝手に美しいシーンができるんですよ。良い事、だと思います。

その代わり自力で「庭」を作って園芸植物を植えようとしたら大変な重労働が待っています。自然に任せるか、自然に逆らうか。中途半端は淘汰されてどちらかになるでしょう。
Full color northwest shade border garden 

私自身の趣味もまだそこまで枯れてないので、斑無しの宿根草と羊歯と苔と樹木で構成されたしっとりした山の庭、折々に山野草が静かに咲いている温泉旅館の庭園のような庭、では作っても欲求不満が溜まって耐えられないでしょうね。そういう庭の旅館に滞在するのは良いんですけど。
そもそもうちの敷地には水がないから挑戦しようがないじゃないですか、残念な事に。
Full color northwest shade border garden 
周り中緑で「自然」があふれている、こんな森の中でせっかく庭を造るなら,
いかにも「庭」らしい庭を作りたい。
不調和なのは嫌ですが、クド過ぎない程度に派手にやっちゃいましょう。飽きたら方向転換すれば良いのだし。
Full color northwest shade border garden 
そんな思いの表出された、フルカラー・シェイド・ボーダーガーデン。


最後に、299沿いの一番低い端、北西の角。
ペレニアル・ブラッシュの門。
The gate of Rosa 'Perennial Blush'
やっと咲きました。

しかし、私はこれから東京で、そのまま木曜日には北海道に飛びます。
主に庭園を見に行きます。ベルトランも私も凄く楽しみにしています。もう3年ぶりのレジャーですよ。
ここ数日信州もいよいよ雨ばかり降るようになって本格的に梅雨ですね。この写真のような美しい6月はもう終わりです。

戻って来た時には果たしてどんな惨状が、、、。