Friday 29 July 2016

レ・スリズィエのホームページができました

レ・スリズィエのホームページができました。

今までドメインだけは用意していたにもかかわらず、ちゃんとしたコンテンツがなく、急場凌ぎにベルトランが私の庭blogをサイトのトップに持って来てしまったため、とっても奇妙な事になっておりました。

ガレット屋のページだと思ってクリックして、プルモナリア 'ブルーエンサイン'についてびっしり英語で書いてあるページが出てきたら、それは変ですよね。そんな状態が1年以上続いていたんです。お恥ずかしい。

ならばさっさと店のblogを書けば良い。それはそうなんですが、何度も書こうとはしてみたものの、どうしても書けずに、気がつけば1年以上経っていたという訳です。

そもそも、間の悪い事に、店が始まる間際にメガソーラー問題が立ち上がってきてしまって、blogはその事から始まってしまいましたし、その後の記事との連続性も取れず、本当にどうして良いかわからず身動きが取れずに困ってしまいました。
結局メガソーラーは止める事もできず建設されてしまいましたし、その事についてblogを書く気力もなく、花の事を書き始めては見たものの、店のサイトの表紙にされてしまい、従って放置、という経過でした。

この状況を打破するにはちゃんとした店のホームページを作るしかない、
と奮起して業者さんに入ってもらって作りました。

それがこれです。
ああ、これでやっと肩の荷が下りました。

ホームページは業者に入ってもらったにもかかわらず、何となくレトロで古くさい雰囲気ですが、デザイン的な部分についてはそれは私達の趣味だということで。

こんなblogがお役に立てるか分かりませんが業者さんの宣伝もしておきます。
ペンギンデザインです。
大変親切にしていただいて申し訳ないくらいです。

このペンギンデザインさんが言うにはGoogleの検索システムとしてバイリンガルやトリリンガルのサイトは「推奨されていない」ので、今までのような2カ国語、3カ国語blogは止めて、一つのblogに一つの言語を徹底した方が良いとのことでした。店のホームページにトリリンガル・blogなんかがある事で、Googleの検索結果の順位が下がるかもしれない。
ということは、フランス語、日本語、英語、と3つblogを作って翻訳と管理をしなければならないということで、、、うーんそれは多分、いえ、絶対無理ですよねぇ。

今までの3カ国語blogは、まず私が英語で書いて、それをベルトランがフランス語、私が日本語に翻訳していました。
もちろん時間がかかるので記事の数も少ないし、これはこれでどうしたものかと悩んではいたんです。

この際仕方ありません、潔く日本語に集中して数をこなそうと思います。もう店のためのblogにもしません。自分が自分のために書く個人のblogと言う事にします。

blogの方向性と文章のスタイルが決まらずに、なかなかblogが書けなくて苦悩していましたが、これでずいぶんすっきりしました。

私はみっちり文を書き込む方で、その分blogの更新が遅いのですが、よくblogの書き方的な読み物で推奨されているように、長い文章を分割してエントリーの数とページビューの数を稼いでいるblogというのは私には読み辛いし、書いてもつまらなさそうです。私の好みとしては、文章はまとめて一気に読ませて欲しい。
膨大な独り言のようなblogになるでしょうが、私の書く事が役に立つ人もいるかもしれません。実際に私も調べたい事を検索してたどり着いた個人のblogで教わった事がたくさんありました。少しはネット世間に恩返しをしたいものです。
恩返ししたい相手が日本語人じゃない事も多かったので、英語blogにしたい気持ちもあったんですけど(あと自分の英語力のためにね)あきらめます。Google自動翻訳も、今はお話しになりませんが5年も経てばもっとマシになるでしょうからそれを待ちます。


でも、blogを書こうという一番の動機は写真と記憶を整理して記録として残したいからです。
機会あるごとに撮り溜めている膨大な写真も、良いものを選び出して紙芝居のようにストーリー仕立てにすれば圧倒的に扱いやすく記憶にも残ります。また、そうでもしなければそのうち写真の整理もしきれなくなるでしょう。

だからこのblogは「自分のために最高クオリティの忘備録を作る」のを目標に書いて行こうと気持ちが定まりました。
ちょっとお固い感じですね。まあ、いいです。

店に関してはFacebookに一任します。ベルトランだけでなく自分も書く訳ですが。
blogを書くときとFacebookを書くときは題材から構成から全然違います。Facebookの方がずっと気軽で気楽で、あっさりしています。読む人も長文など期待していません。深く掘り下げた文章は必要ないんです。もっと軽くて短くないと読んでもらえないし、その軽くて短い中に個性と主張を込められる能力が必用とされています。自分に向いてないような気がしますが、何とかこなしましょう。

blogとFacebookの両刀使いにすれば今までみたいなフラストレーションは大分解消するでしょう。本心から言いたい事はブログに書いておけば、店のFacebookで場に相応しくない魂の叫びみたいなのをやらかす必用もないわけです。
だったらTwitterもやれば?匿名だし本心が出せるし。
いえ、そうかも知れませんがとても手が回りませんので。

今の所このblogは何処にもリンクがありません、一つを除いて。
蓼科中央高原観光協会のリンクが、このblogのURLになっているんです。困った事に連絡してもすぐには変えてもらえないようで、しばらくこのまま我慢するしかありません。

つまり今このblogを読むのは、ほとんどが限定された知り合いとそのblogづたいの方のみです。Googleのボットしか来ないだろうと思ったら、読んで下さっている方がいる。ちょっとドキドキです。ありがとうございます。


Bloggerはこんな状態でも律儀にアクセス解析をしてくれているのですが、お馬鹿な事にこのシステム、私自身のアクセスをカウントしないでくれと言っているのにカウントするし。
自分でもっと良いソフトを入れた方が良いのでしょう。

ところで今、何故かロシアから愛を込められてるんですけど何故でしょうかね?
アメリカからならGoogleのボットだろうと思うんですが、ロシア経由のもあるんでしょうか。


それから、さっき驚愕の事実が発覚したのでお見せいたしましょう。

'Iris ensata'で、で検索すると、「言語=全ての言語」でうちの前回のblogが2番目に出てきます。
え?マジですか?何で?
じゃあこれ英訳したら「言語=英語」でも上位に来るのでしょうか?
ちょっと挑戦したい気もしますが、、、、。
あ、ウソ!
花菖蒲で検索しても2位に来る、、、、。



Thursday 28 July 2016

Iris ensata 'Hekigyoku':世界で一番青い花菖蒲


世界で一番青いジャパニーズ・アイリス(Iris ensata)である、花菖蒲 '碧玉'が咲きました。
Iris ensata 'Hekigyoku'
'碧玉'
場所は、畑のナーサリー。
せっかくこんなに珍しい青い花なのに、誰にも見られずにぽつんと立っています。
もったいないけれど、これを見ると、これこそが'Blue Flag'という感じです。
Iris ensata 'Hekigyoku' and Hydrangea paniculata 'Silver dollar'
花菖蒲 '碧玉' と ノリウツギ 'シルバー・ダラー'
来年はメインステージの舞台中央で咲いてもらいますから、そのつもりでお願いします。

本当は碧玉は中生のはずです。それが、あらゆる花菖蒲が終わってからやっと咲き出すとはどういう訳でしょうか?
やはり登場を心待ちにされている大物はトリを務めなきゃ駄目だろうとか、そういう心配りがあったのでしょうか?

いや、しかし、安心しました。この花は去年咲かなかったので、今年こそ咲いてくれとヒヤヒヤしながら見守っていたのです。
日本で一番青い花菖蒲。と言う事はおそらく世界で一番青い花菖蒲です。

たった1本上がった花茎には蕾が4つもありました。一つ終わると1日くらい間が空いて、次の花が咲きます。
この調子だと、咲き始めから咲き終わりまで合計2週間近くかかります。意外に長いですね。

Iris ensata 'Hekigyoku' and Hydrangea paniculata 'Silver dollar'
花菖蒲 '碧玉' と ノリウツギ 'シルバー・ダラー'
さて、この画像の色処理は、実物を正しく再現出来ているでしょうか?ちょっとばかり心もとないのですが、それでもこれだけは言えます。
こんなに青い色のアイリスは、他にはイリス・レティキュラータ(Iris reticulata)でしか見た事が無いと。
イギリスの Pottertons Nursery には、'ハーモニー' 以外にもたくさんレティキュラータがあって、'ハーモニー'よりも青くてほとんどtrue blueの花もありました。4年前だったか注文して買ったことがあります。しかし次の年から「日本には送りません」ですって。うわー、イケズ。
Iris reticulata 'Hermony' in my garden 
朝日と夕日では太陽光の成分が違うので、花の色は微妙に違う色に見えます。
晴天と曇天でも花の色は違って見えます。
更に、同じ一つの花も咲き進むと花弁の色を変えたりします。
そもそも、静岡で咲く花と北海道で咲く花は色が違うそうじゃないですか。
おまけに、パソコンのモニターによって、また部屋の明かりがLEDか自然光かでも画面の色が違ったりして、完全な再現性は望むべくも無いのですが。
Iris ensata 'Hekigyoku'
'碧玉'
碧玉とはjasperの事ですが、この花とは似ても似つかない緑色です。画像検索するとがっかりする事請け合いです。
「青」と「緑」は古い日本語では区別されていなかったからといって、これではあんまりです。

私はこれは瑠璃(lapis lazuli)とでも名付ければ良かったのにと思います。和名があれば本当はタンザナイト(tanzanite)とでも呼びたいくらいです。
この花の紫と青の混じる絶妙な美しさは、タンザニアの夕暮れ時の紫を帯びた紺色の夜空のようです。
ええ、本物を見た事はありません。タンザナイトの石に潜む紫と青の美しいブレンドにため息をつきつつ、未だ見ぬアフリカの大地の夜に思い馳せているだけです。



「碧玉」ではなくて、むしろ「碧」という漢字一文字で画像検索してみて下さい。

青い海と青い空のイメージばかりが出てきます。
そう「紺碧の海」、「紺碧の空」の「碧」ですね。

皆がそう思えば言葉の意味は変わりますから、現代日本語では、もはや「碧」の意味が変わってしまったと言う事です。「碧」とは昔は緑や青緑の事だったが、今では「碧」は「海や空のような深い青」と言う意味。

そういう事です。

だからこの花の名はジャスパーの事ではなく、「青い宝石(blue gem)」という意味だと思っていればいい。

Iris ensata 'Hekigyoku'
'碧玉'
これは、積極的に輸出すべきじゃないでしょうか?
この一品種のことを言っている訳ではありません。花菖蒲というジャンル丸ごとです。
アメリカでも品種改良はされていて、市場にも出回っているらしいのですが、日本の膨大な品種ストックはほとんど日本国内にしか出てないんだと思います。
もったいないですね。

華やかで豪華で、でも似ているようでいてジャーマンアイリスとは雰囲気が違います。

植え場所が違うのもいいと思います。ジャーマンアイリスが調子を悪くする水はけの悪い土地、水浸しでさえなければ池のほとり、小川の側など、いつも湿っていて使いにくい場所が有り難い事に有効利用出来ます。
耐寒性は高い。USDA Hardiness Zone 3-9。ニューイングランドでもアンカレッジでもでも大丈夫(フェアバンクスはアウト)。しかし暑くて乾燥している所には向かないでしょう、オーストラリアの真ん中とかアリゾナとか。湿っていて暑い所も今ひとつでしょうね。マイアミとかミシシッピーとか。生きてても奇麗に咲かないかもしれません。

何よりいいのが花期が遅い事じゃ無いでしょうか?アメリカでもヨーロッパでも薔薇の一番花が咲き終わった後と言うのは庭が寂しくなる時期なので、この時期に咲く花はとても歓迎されるでしょう。
ガーデンメリットは高いですよ。

「大名や旗本など高位のサムライ達が自ら品種改良と栽培に熱中した日本の江戸時代の文化の粋」
などと、海外受けの良いキャッチコピーも付けやすくて良いですよね。

Iris ensata 'Hekigyoku'
加茂花菖蒲園花菖蒲品種画像カタログより
碧玉
(引用)
碧 玉   へきぎょく   HEKIGHOKU

江戸系   中生   もっとも青味の強い青色の平咲き六英花。花径は約16cm程度の中輪。
「碧鳳」の後代で、花はさらに青く、「三河八橋」とならび、花菖蒲のなかでもっとも青に近いと言える。
咲き始めは色が濃く、3日目には薄くなるが、それでも紫味を含まない。遠くからでもこの品種と判るほど、
他の品種とは違った独特の青さを持つ花である。草丈はやや低く、出来て60cm程度か。碧鳳系にしては、
性質繁殖ともまあまあ。花はやや小さいし、花形も今ひとつだが、総合的に見て、評価の高い品種。
1995年、加茂花菖蒲園作


なるほどその通りみたいです。加茂花菖蒲園(加茂花鳥園)のカタログ(花菖蒲データベース)は信頼出来ます。頼りにもしています。

品種改良をやって新品種を世に出しているナーサリーというのは何処も経営が楽ではないだろうと思います。大変なのはどの国であってもそうなのかもしれませんが、特に日本と言う国においては大変なんじゃないかと思うのです。理由はあえて書きませんが。
でも、こうして新品種を出してくれる誰かがいなければ、私達、欲しい花が手に入りませんからね。価値のある仕事にはそれなりの対価を払うべきです。
ナーサリーが潰れたらもう新品種は出ないし、古くていい品種だって誰かが保存して販売してくれなければ消えてしまうのですから、ブランド・ローズが高くても、ツワブキの銘品(私は買いませんが)が高くても仕方ないですね。

Iris ensata 'Hekigyoku'
'碧玉'
碧玉は2000円でした。3回も枯らした薔薇 'ガブリエル'よりずっと安いです。
その価値は十二分にあると思います。青い花好きの皆さんには特にオススメですよ。



Tuesday 19 July 2016

Agapanthus:アナベルの白とアガパンサスの青と黄色い百合

梅雨があけましたか?
まだみたいですね。

芹ガ沢南交叉点近く、北海道的な直線道路。
ここは見晴らしがよく、絶好の写真撮影スポットになっています。
正面に横たわる八ケ岳、右手の並木は「風除けの松」と呼ばれる防風林です。
View Yatsugatake mountains from Serigasawa, Chino-shi
芹ガ沢から八ケ岳連峰を望む
一番右が硫黄岳、真正面の3ピークスは右から、箕冠山(みかぶりやま)、根石岳、天狗岳。この山の左手のコルが中山峠、それを境に左が北八ケ岳、右が南八ケ岳と(人間は)呼び分けています。

これが八ケ岳連峰の最北端、蓼科山。
別名、女神山(めのかみやま)、諏訪富士、etc.
Mt. Tateshina (2531m)
蓼科山
標高2531mとかなり高いですが、何せこの写真を撮っている場所の標高が既に約1000mです。
登山口はもっと高いです。
例えば女乃神茶屋登山口は1750m。頂上との標高差はたったの804m。

6月末に北海道に行った際、天気さえ良ければ羊蹄山(蝦夷富士)に登る予定でしたが、あちらは登山口から頂上まで標高差にして1500〜1600mもあります。倍くらいハードなはずですね。来年にでも再チャレンジしたいものですが。

ポニーハウスにレタスを買いに行きました。
ポニーハウスの庭
アナベルが見事

ポニーハウスの犬アンジェ
(スペルはAngeですか?)

私はいつもアンジーと呼んでますが本人は気にしてないみたいです。

作業場ではポニーママがサラダブーケを作成中。



日向に連れ出してモデルになってもらいました。





レ・スリズィエの庭はすっかり夏の庭になりました。

日射しも熱いうえに湿度も高く蒸し暑い。庭仕事は木陰で鉢の植え替えなど。
東京での経験とくらべればこんな暑さは暑いうちに入りません、と言いたい所ですが、十分熱中症になれるくらいの暑さではあります。

このアナベルはポニーハウスのアナベルの株分けです。
ママが「今年こそはヒコバエを引っこ抜いて持って行ってよ。もう増え過ぎちゃって。」とおっしゃって下さいましたので、秋には有り難くガッポリと掘りに行きます。そうすると一気に3年分くらい時間が稼げるなと内心ガッツポーズ。(秋に掘りに行く時間があるといいんですけどね。いや、ここは相当無理をしてでも行かなくては)
Agapanthus and Hydrangea arborescens 'Annabelle'

まだ最後のハナショウブが咲き残っているのですが、アガパンサスがこんなに咲いてしまったらもう「夏」だと認めない訳にはいきません。

オリエンタル・ハイブリッドの百合まで咲き始めてしまいました。
毎年一番早いですね、'イエローウィン'。
Lilium 'Yelloween'
Oriental-trumpet hybrid (OT Hybrid)
'イエローウィン'
おや?そうですか。これはオリエンタルハイブリッドじゃなかったんですか。オリエンタル=トランペット・ハイブリッド。
非常に丈夫。ウイルス病に強いです。
この黄色は悪目立ちしない色なので合わせやすくて良いです。今年の秋にはもう少し球根を足しましょう。

本来、黄色い花は好きじゃないんですが百合の場合別格というか、何故か「いい」と思うんですよ。「金の百合」って感じですね。コンカドールや黄金オニユリや夕菅も好きです。
Physocarpus opulifolius 'Mazeruto Brown'  
Agapanthus, Cercis canadensis 'Silver Cloud'

左の茶色い葉は、アメリカテマリシモツケ 'マゼルトブラウン'、まだ鉢植えのまま。春に花が咲きましたが、茶色い葉っぱと薄ピンクの丸い花がとてもいい感じでした。
今回初めてスペルを認識したんですが、これはもしや「混ぜるとブラウン」という意味でございましたか?ディアボロからの選抜種。日本産です。それはそれは。
北海道では3mくらいありそうな立派な'デイアボロ'があちこちに植わっていましたが、この庭でそこまで大きくなられると持て余すでしょう。
「剪定で1mくらいにできます」という記載を信じて剪定します。

アガパンサスの背後の白い葉はアメリカハナズオウ 'シルバークラウド'。
一度も行かないうちに閉園してしまった今は亡き宝塚ガーデンフィールズの写真で見て良さそうだと思って入手しました。
アメリカハナズオウと言えば最も有名なのは'フォレストパンジー'です。あの銅葉が魅力で買おうかとも思ったんですが、写真を見ると花の色がずいぶん濃厚なピンクなんですよ。そのせいでイマイチ食指が動きませんでしたが、シルバークラウドはちょうどいい感じのピンクみたいでしたのでこれにしようと。
しかし珍しいらしく、苗木があまり売っていません。やっと見つけました、しかも安くはない。これで鉄砲虫にやられて枯れたら嫌ですねー。
植え場所未定。日向では葉焼するから半日陰がいいとの事。蓼科なら日向に植えても大丈夫じゃないかと思いますけどね。
Agapanthus cv. 'Blue Diamond'
'ブルーダイアモンド'

アガパンサスが、咲いたのはいいのですが、ほとんどの品種が同時に咲いてしまったような気がします。早生、中生、晩生、取り揃えて、なるべく長く花が続くように謀ったつもりだったのに当てが外れました。
今年はハナショウブもそんな感じでした。早生も中生も晩生もほとんど同時で何故か早生の物が晩生より遅く咲いたり。
今年だけの特殊事情だといいんですけど。
Agapanthus cv. 'Aogasumi'
'青霞'

まだ遅咲きで咲いていない株がありますが、果たしてこれから蕾が上がるのか、それとも今年は咲くつもりが無いのか。
Agapanthus cv. 'Indigo Boy'
'インディゴボーイ'
6月の北海道旅行で、嬉しい事にイコロの森のナーサリーで耐寒性の高いアガパンサスを数種類発見しました。もちろん買い込みましたとも。




耐寒性が高いと言ってもHardiness Zone 7ですけどね。うちはHZ 7aなので、これで行けるはずです。(本当かな〜)
というか、この苗達はイコロで冬越ししてるんじゃないんですか?イコロなんかHZ 7どころじゃないと思います。HZ で言ったら 5くらいになりそうな気がしますけど。

今前庭で咲いているアガパンサスは皆鉢植えで、冬は室内の寒い部屋に取り込んで冬越しさせています。
私にとっては、アガパンサスとはそこまでしてでも咲かせたい花の一つ。
大分株が大きくなったので、今年は株分けの上、半分は屋外での越冬にチャレンジするつもりです。
こんな、青と呼んでもいいくらい濃い青紫の、しかもこんな特徴的な形の花が庭植えで大量に咲いたらどんなにいいだろうと思います。ハナショウブと同じく端境期の救い主。しかも青系。超重宝。しかし耐寒性が弱い(物が多い)。

アガパンサスの耐寒性については、10年来、日本の苗屋の記載はほとんど当てにならないと思ってきました。いえ、アガパンサスに限らず何でもです。
耐寒性 関東以西で屋外で越冬出来ます。」とかって、何それ。腹の立つ記載ですね。

品種を作成しているナーサリー自体が暖地にあって寒冷地テストができないのは仕方ないですけど、タキイとかサカタとか、全国に売ってるんだから、データを集めればいいのに。外国産の品種ならHardiness zoneの記載があるんだからカタログに印刷すればいいのに。

アメリカやカナダでも耐寒性のあるアガパンサスのニーズは高いようです。
最近になって 'Headbourne Hybrids'と言う種類(複数?)はHZ 5だと知って、何とか入手出来ないかとネットをさまよっていました。そうしたら、ミヨシペレニアルガーデンであっさり苗に出くわし、2種類を買い込んで庭植えしたのが一昨年。今年はそのうちの一つが一本だけ花茎を上げてきました。これはもう少し日向に植え直しましょう。もったいない。

今回買い込んだイコロの苗も、今年の花は期待してなかったのに2種類が蕾を上げてきました。楽しみです。


薔薇も(まだ)咲いています。というか一番花と二番花の境がはっきりしない物が多いです。何せツルなので。
Rosa 'New Dawn'
遅咲きで、一旦咲いたら長期間ずっと咲き続ける薔薇。
香りは強くないが、たくさん咲くと辺りが香る。
上品な顔して強靭な薔薇。
Rosa 'Shinsetsu'
ニュードーンの子の'新雪'も咲き続けています。
Rosa 'Shinsetsu'
'新雪'。夏も変わらぬ美しさ。
樹の強靭さも花持ちの悪さも親譲り。
親と違ってほとんど全然、というか正直に言ってまったく香り無し。
おかげでコガネムシが寄り付かないのはメリットではありますが、
「香らぬ薔薇は、笑わぬ美女の如し」ですからね。
いいんです。それでも愛でています。
どうせだんだん背が高くなって、パーゴラの上とか手の届かない所で咲くようになるんでしょうから、香りがあっても無くても同じです(無理矢理)。

Thursday 14 July 2016

Iris ensata:早春から続いたアイリス駅伝最終ランナーは豪華なイリス・エンサータ

Iris ensata var. ensata
花菖蒲の事です。
英語ではJapanese irisと呼ばれています。
Iris ensata var. ensata 'Nagai Sanshisuimei'
'長井山紫水明'

私はアイリスが好きなので、気がつくとあらゆる種(しゅ)に手を出して庭に植えています。
春一番に咲くイリス・レティキュラータ(Iris reticulata)に始まって、
球根ミニアイリスの競演をへて、
ダッチアイリス(Iris. × hollandica)、
アヤメ(Iris sanguinea)、
ヒオウギアヤメ(Iris setosa)、
カキツバタ(Iris laevigata)、
ジャーマンアイリス(Iris x germanica)、
シベリアンアイリス(Iris sibirica)、
ニオイアヤメ(Iris pallida)。

目立たないながらも4ヶ月間延々と続くうちの庭のアイリス花リレーは、ハナショウブの開花をもって終了します。

Iris reticulata 'Hermony'
イリス・レティキュラータ 'ハーモニー'

江戸時代以来、日本で300年も改良され続けて来た花菖蒲。シベリアにも自生していますが、日本での長い栽培と品種改良の歴史からしてJapanese Iris の名で相応しいと思います。

蓼科高原(具体的にはその何処の部分なんでしょう?)や霧ヶ峰高原、入笠山に野生の花菖蒲(ノハナショウブ)の自生地があるくらいですから、うちの庭や畑は花菖蒲にとって住みやすい気候のはずなんです。
花菖蒲の色もまた、暖地より寒冷地の方が鮮やかに美しく出るそうですよ。(そういう花は他にも多いですけどね)

私が花菖蒲に興味を持ったのは、薔薇の一番花と百合(オリエンタルハイブリッド)の間に挟まれた「端境期」に庭が寂しくなるのをなんとかしたいと思ったから、だったかもしれません。

私は田舎育ちなので、家の庭には「当然ギボウシと花菖蒲が植わっていました。あまりにも普通の植物で、珍しくもない花。

その当時から花菖蒲に対して思っていた事は、
「花の形は好み。特にフリルのない一重の凛々しい形の花が好き」
「紫ではなくせめて青紫の花があったらいいのに」
「悪くはないけど、買ってまで庭に植えたい花ではない」

自分はどうでも、お客さんは喜ぶ(人もいる)でしょうから、端境期対策として花菖蒲でも植えようかと思って品種を調べてみたら、意外に私の好みの花がある事に気がつきました。それで取り寄せて咲かせてみたら思った以上に華のある花で、「これは使える」と。

この庭では、紫陽花の花芽が凍害を受けて、株は生きているのに花が咲かないという悲しい事になります。
花の咲かない紫陽花ほど無意味な物はないとか?誰かそうおっしゃいましたっけ。

青い紫陽花。
嘘偽りなく青と呼べる花。
本当はせいぜい紫色でしかない花を「ブルー」と呼ぶ誤摩化しが全く必要のない花。
薔薇なんかに至っては、少し紫がかったピンクの薔薇でさえ堂々と「ブルー」といいますからね。あんな大ウソが許されるのはホント薔薇だけですよ。

そんな中、'true blue' の青を持つ、数少ない貴重な花。
それが寒すぎて咲かないなんて、私にとっては大ショックだったんです。
そんなに弱いのか紫陽花。冬囲いするのか紫陽花に!

ヤマアジサイなら問題なく咲きます。
Hydrangea serrata 'Aihime'
'藍姫'

けれど、テマリアジサイの、あのtrue blueの圧倒的な青い塊を庭に咲かせる事ができないとは、何と残念な事でしょう。
ほんの300mも下れば、茅野の町中で濃紺の紫陽花がドカドカと咲いていると言うのにね。

この紫陽花は咲くんですよ。しかも8月に。
品種名不明
ヤマアジサイの血が濃いのでしょう

この時期、他に使える大型の花には、アジアティック・ハイブリッドの百合があります。


 Lily(Asiatic Hybrid)

それに遅れる事2〜3週間で、アガパンサスが咲いてきます。ボリュームでは百合に劣りますが、独特の花形で一種のオーナメンタル・プランツみたいなものですから、咲くと存在感があります。
Agapanthus 'Mori no izumi'
'森の泉'

アナベルもだんだん白くなってきました。しかしまだ株も小さく見応えはありません。
Hydrangea arborescens 'Annabelle'

放置ナーサリーである畑に行ってみたら、花菖蒲が咲いていました。
Iris ensata 'Shiokaze'
潮風
Iris ensata 'Shiguresaigyou'
時雨西行

去年咲かなかったこの二つの品種が咲きました。
Iris ensata 'Shiguresaigyou'
時雨西行
Iris ensata 'Shiokaze'
潮風

特に '潮風' は今まで見たどんな花菖蒲より青い花で嬉しかったですね。
イリス類に関しては、無理矢理加工して青くした苗屋のカタログに何度も騙された身としては感無量です。
加茂花菖蒲園は嘘をついてなかった。


花菖蒲データベース

潮風

潮風はかなり青っぽい青紫ですね。
紫の色味は確かに残るけどギリギリ青と呼んでも怒られないくらいには青いでしょう?

私も写真の加工には気を使っていますよ。自分の願望の色でなく実物の色を再現するように凄く気を使ってます。

ベルトランなんか、
とうとうこんなアプリまで導入して色合わせを

'時雨西行' も「水色」と言うには微妙ですが間違いなく青紫なので、これなら「ブルー」と呼んでも許せるレベル。

この2つが咲いたのはいいんですけど、実は去年咲いた4つの品種が咲きませんでした。

まず、春に芽吹いて来たばかりの所を、ごっそり鹿に喰われたんです。
イリス類は毒があるんですけどね。去年生まれたばかりの若鹿なんか、グラスっぽい形の物はとりあえず齧ってみる方針らしくて、茂っていれば何であろうとも齧って行きますから。

葉っぱが半分になりましたけど、また生えてくると思っていたらどんどん枯れて来て慌てました。
春に乾燥が続いて水切れを起こしたのかもしれないと思います。花菖蒲を植えた場所の東の半分の株だけ枯れました。

この'潮風''時雨西行'は枯れなかったので順調に開花まで漕ぎ着けましたが、東半分の株は一旦葉が全部茶色くなって、もうダメかと思ったら新芽が出て来たという状態で、当然今年は花なんか見込めません。

去年は花数は少ないながらもあんなに奇麗だったのに。
今年はもっと大株になってたくさん花が咲くと楽しみだったのに。
株ごと消滅しないだけまだ良かったです。
July 2, 2015
July 2, 2015
耐寒性は問題なく強いし、一旦は芽吹いて来たのですから、やはり乾燥のせいだと思います。病気や害虫という感じでもなかっですし。

畑の土では湿原と違って乾きやすいんでしょうね。いや、湿原はそもそも常に水が流入するから湿原なのであって、基本的に潅水をもっと頻繁にするべきでした。
乾燥対策に大量に堆肥を入れて、酸性が好きなのでピートモスなんかも入れて、更にたっぷりマルチングでもしておけば良かったですね。
そして冬でも水をやる。特に春先の乾燥する時期には、夜に寒さで凍ってもいいから水をやっておけば良かったか。ドロドロのぐちゃぐちゃになるでしょうけど、どうせ自生地の春の状況なんかそんな感じですから。(来年はちゃんと対策しましょうね)


Iris ensata 'Aosuishou'
'青水晶'
端正な形、coolな色、とても好きでした


Iris ensatas 'Suwaharajo'(upper) and 'Nagai seiryu'(lower)
'諏訪原城''長井清流'
Iris ensata 'Suwagoryo'
'諏訪御寮'
これはサービス品でした(ありがとうございます)
自分では選ばない品種ですが美しいですね。紫の衣の貴婦人。
(諏訪御寮人は武田信玄の側室で、文句無しに美しい人だったそうです)

去年買った苗は全部ポット植えにしました。そうしたらやはり半分くらいは蕾が上がらず、どうやら今年は咲かなさそうです。こちらも乾燥のせいか、肥培が足りなかったせいか。
何だか全然駄目ですね私の栽培は。

それでも今年咲いた花は、単品で見て見蕩れる程には十分魅力的でした。苦労も報われます。
え?何もしなかったくせに苦労とはこれ如何に?
あ、草取りはしました。
肥料も少しやりました。水もやっています。
美しいのは主に品種の力ですね。
元々の遺伝的素質が良い事に勝る物はありません。優秀な品種を選ぶ事。野菜でも花でもそれが一番重要。


梅雨の晴れ間の貴重な朝。店の定休日。
July 11, 2016 午前10時
ベランダで2人で朝食にすることにして、紅茶を飲みながら庭を眺めると、こんなシーンが見えました。
影をバックに白いアイリスが日射しに当たって浮かび上がる。ちょっと、うっとりするくらい素敵なんですけど。

株は全部鉢植えで花は1、2輪しか咲きませんが、それでも来年の風景を想像するのには十分です。

ところで、上の写真妙な妙なトリミングですよね。
フォーカスも合ってないし。

それはこういう訳です。
引きで見るとこんな状態です。
ほんとうに、ほんとうに、もういい加減後ろのチューブをなんとかしないと!

ここに来年までには花菖蒲ベッドを作りましょうね。営業時間前のこの時間で、白い花の咲いている所までは日が当たるので、花菖蒲を植えるならそこより手前にすることにして。
そう、これはお客さんではなく、自分達が見て楽しむための演出です。

青、白、ピンク、と紫と白の2色咲き、もしくは砂の入った微妙な色合いの品種なんかをmixで植えて。
ベランダ(客席)から良く目立つような配置で。

午後の写真


Iris ensata 'Himekagami'
'姫鏡'
この場所は庭のメインステージの舞台中央です。
ここに大抜擢するほど花菖蒲に惚れ込むとは昔は思っても見ませんでした。(いえ品種コレクターにはなりませんよ。素材として使うだけです)

1年の間に、たった2週間くらいしか咲かない花ですけれど、梅雨時の花の少ないこの時期に咲く、しかもこんな華麗な花を咲かせてくれるのですから、特別扱いするのには十分な理由だと思います。
例えば、他にも花があふれている時期に咲くジャーマンアイリスなんかよりも、役者としてずっと重要です。

Iris ensata 'Takarabune'
'宝船'

花菖蒲だけを植えると花のない時期に(当然)虚しいので、花菖蒲園では普通やりませんが他の宿根草との混植にしたいものです。何ならいいでしょうね、花菖蒲の自生する高層湿原の花でしょうか?

「湿原に咲く花」などで花のリストを得ても、一つの湿原の中にも乾湿の条件が違う場所が入り乱れているので、自然の状態で実際に野花菖蒲の隣に何が咲いているのかはわからないのです。
それなら自分の目で見て来るしかないでしょうか?八島湿原ハイキング?ついでに美ヶ原ドライブ?いや、そんな時間は多分ないです。
車山・霧ヶ峰を通るドライブルート、
ビーナスライン(ヴィーナスと読んでほしい)。
この辺りならまだ近いので行きやすいですが、
美ヶ原はもっと奥で家から1時間くらいかかります

一旦行ったら1時間や2時間で終わる訳が無くて、つまり1日仕事。
霧ケ峰高原から見る富士山

それともう一つは、花期を花菖蒲と重ねるのかどうか。
花菖蒲が咲く時期に他の花が咲かないようにすると、古典的な花菖蒲園みたいでしょうか?
花菖蒲の間に違う形の花が混じり合って咲くとコテージガーデンスタイル?上手く合う花って何でしょうね?
というか、今の時期に咲いている花で日向の湿原が得意な物って何?
うーん。

下野や下野草、三ツ葉下野、雪ノ下(あ、可愛いかもしれない)。こういう植物は、蓼科の標高1150mではこのくらいの日向に植えても全然平気です。
白山風露。今の時期に咲く品種の擬宝珠。蛍袋。河原撫子。
ベタだけど日光黄菅はどうかな?
いやあの黄色は合うかなあ?
お客さんは間違いなく喜びますけどね。車山・霧ヶ峰のニッコウキスゲは有名だから。
乳茸刺つまりアスチルベ、は今現在日陰で美しく咲いています。しかし日陰で十分咲く花をうちの庭の貴重な日向に植えるのは場所がもったいない。

Wild Astilbes
庭に生えていた野生のチダケサシまたはその近縁種

は?
小梅蕙草(コバイケイソウ)ですって?
ものすごく好きな花なんですけど、苗が売ってないじゃないですか。

深山猪独活(ミヤマシシウド)だって苗さえあれば買いますけど。
大型で盆栽に向かない山野草・高山植物って全然売ってませんね。
種も入手困難で(というか見た事ない)。


Iris ensata 'Wakazakura'
'若桜'

花菖蒲が終わった後で咲くように夏の花メインにしましょうか。
桔梗。沢桔梗。九蓋草(大きすぎる)。白玉星草。松虫草。吾亦紅。蕎麦菜。釣鐘人参。蝦夷竜胆。御山竜胆。晒菜升麻。鳥兜。野紺菊。
グラスを足したら草原風になりますよね、場所が狭いけど。
屋久島糸芒と姫野刈安ならどうでしょう。

もう咲き終わったものだと、柳蘭がありますね。良さそうです。
苧環も良いですね。
九輪草?そういえばその手があったか。

日本の物じゃないけどサルビア・ウリギノーザは?湿原は大得意でしょう
そして湿原が得意かどうか知らないけど水の好きなシュウメイギク。
背の高い白い奴。秋に咲いたら素敵。

野花菖蒲の群落の写真を見ると、他の花は写ってなくて緑の草原の中に紫の花だけが見えるんですよね。せいぜい薊とハルジオン(手入れが悪いせいで雑草が生えてるようにしか見えないから植えるのは却下です)が一緒に咲いているくらいで。
やはり交代制にしましょう。

春先は福寿草、猩猩袴。続いて二輪草、九輪草。初夏は柳蘭。梅雨時は花菖蒲。夏は吾亦紅、松虫草、蝦夷河原撫子。秋は鳥兜、野紺菊。
サルビア・ウリギノーザも入れておきましょう。夏にほっそりと立ち上がる青い(true blueの)花が好きです。秋になっても咲き続けるし。
タリクトラム・デラヴァイもこの辺りに映えそうな、、、

あれ?
植えるスペースはそんなに広くないんですけど。こんなに入りますか?
プランニング中
ベースの写真は3年前。まだ庭の造成に手をつける以前。


最後に、ベルトランの取った芸術写真を。
真上から見た花菖蒲
なかなか無い