Friday, 5 August 2016

Tofieldia nuda var. furusei:真夏に雪の結晶のような花を咲かせる野州花石菖

Tofieldia nuda var. furusei:野州花石菖
雪の結晶のような、あるいは白い小さな星の様な花を真夏に咲かせるグラスっぽい形の草。
でもグラスではありません。チシマゼキショウ科チシマゼキショウ属。
栃木県のほんの一部に分布する珍しい種。渓谷の岩場に自生しているそうです。
野生のものを見た事はありません。
Tofieldia nuda var. furusei (2016 July 24)
ヤシュウハナゼキショウ
野州は栃木県(と群馬県の一部)の事です。栃木県の古い名は下野の国(シモツケの国)、群馬県は上野の国(コウズケの国)。
一説には、この辺りの野蛮人が大和朝廷に征服されたころ、その野蛮人達が、

1)毛深かったから
2)ヒゲもじゃだったから
3)毛皮を来ていたから

毛人(えみし)と呼ばれ、毛人が住んでいるから毛の国と呼ばれたのだと、どこかで聞いた記憶があります。
が、今改めて調べたら、違う事しか書いてありませんでした。俗説だったのでしょうか。

「えみし」は「蝦夷」とも書かれて、中世以降この字は「えぞ」と呼ばれ、アイヌの人達と後には北海道をさすようになり、今に至ります。

毛の国(栃木・群馬)の住民がアイヌと同族だったという訳ではなくて、大和朝廷から見て野蛮人はみんな「えみし」だったのだろうと思いますが、毛の国出身者としてはなんとなくアイヌに親近感が湧く話です。
Hakonechloa macra var. aureola and Tofieldia nuda var. furusei
黄金フウチソウ
ヤシュウハナゼキショウ
というわけで、栃木県のレッドデータブックでは『準絶滅危惧(Cランク)』、下野の国の固有種にして、下野の国の名を冠した花、ヤシュウハナゼキショウ。

育ててみて思うのですが、乾燥には弱そうですがそれさえ気をつければ全然丈夫です。耐寒性も「-10℃まで」とどこかに書いてありましたが、明らかにもっと強いです。
果たして最低何度まで耐えられるのかは分かりませんが、うちの庭、USDA Hardiness zone 7a (年最低気温の平均値が-17.7〜-15.0℃)で、マルチングほとんど無しでも葉っぱが緑のまま余裕で冬越ししてます。特に今年はろくに雪も積らず、寒風吹きすさぶ北側の道路沿いと言う劣悪な条件下でこれですから。

元々、滝のしぶきのかかるような渓谷沿いで岩にへばりつくように生育してるらしいので、氷漬けになったり、凍結融解を繰り返したりしても平気なんでしょう。
この株は地元の「八ケ岳山草園」で3号ポットを3年前に購入したものです。そのナーサリーは標高はうちより少し高くて、日当りも悪く、うちの庭より寒いと思います。そこでも特に何の防寒措置もなくポット苗のまま外に放置で冬越ししてるそうですから、-10℃までしか耐えられない訳がありません。
それで、暑さに弱いかというとそうでも無いようです。千葉県辺りでも苦労しないで咲かせてるみたいですからね。(これも何処まで南に持って行っても大丈夫なのかは分かりませんが)

鹿の食料として人気があるとも思えないし、外来種に駆逐されている訳でもない。個体数が減っている理由は、ダムや護岸工事で住処を奪われているからですね。こんな花が岩場に咲いていられるような川辺がどんどん潰されているんです。存在理由のない無意味なダムだとかやらない方がマシな護岸工事だとかで。
だからあと100年して人口が減ってアホな公共事業に莫大な金をつぎ込む時代が終わったら、コンクリート護岸なんかあっという間に壊れて補修も出来なくなって、自然状態に戻すしかなくて、そうなればこんな植物も復活してくるんじゃないでしょうか。
Tofieldia nuda var. furusei
ヤシュウハナゼキショウ
涼しげで、美しい花です。
これを苔玉にして玄関に置くといい雰囲気でしょうね。
花期も結構長いです。7月初めに咲き始めてまだ終わってませんから。去年はいつの間にか咲いていつの間にか終わっていて記録がないので今年はいつ終わるのか見極めるつもりです。
Tofieldia nuda var. furusei (2016 July 3)
ヤシュウハナゼキショウ
この株も結構良い株になって来たと思いますが、大株になると高さ30cmくらいになるらしいです。花茎も今は8本ですが、20−30本上がるとか。そうなれば見事でしょうね。
もしかして日当りがもう少し良ければ花が増えるのではないでしょうか。

写真を撮った後で、以前から懸案だったヒューケラのレスキューと残った役者の配置換えをしました。ホスタやヘレボラスやプルモナリアが育って来ているので、隙間ができる事も気にしないで良くなりました。

赤やオレンジのヒューケラ&ヒューケレラは、本当にギリギリで助かった感じです。ここに置いておいたら来年の冬は越せなかったと思います。ブルーのダブルプリムローズもここだと大きくならないので今のうちにレスキュー。

逆にこんもりと丸い丹那チダケサシ(Aruncus aethusifolius)の株は着実に大きくなっていて、来年のためにともう株分けしました。山菜掘りナイフでまっぷたつにして込み合った葉っぱを広げたら株分け前より専有面積が増えました。これ、秋には真っ赤に紅葉するんですよね。日陰過ぎて今はライム色でしかない黄金フウチソウも秋には真っ黄色に黄葉して、その対比が綺麗です。このノースイーストボーダーを作ったのは秋だったので、紅葉時の葉色合わせも考慮して植栽したのでした。

丹那チダケサシとヘレボラス・ニゲルの間にチョロチョロと疎らに混じり込んでいた白斑入りの十和田アシは、全部掘って地下茎から引っこ抜きました。今はまとめてポット植えにしています。これ、今後どうするべきか迷っています。他の植物の間に侵入してポツリポツリとこんな貧乏臭い生えかたをされても嬉しくない。いくら斑入りでもそれでは雑草にしか見えない。もっと塊で生えて欲しいのですが。白斑のグラスっぽい葉物で日陰に強くてコンパクトなもの、他に何か無いか、、、。
Heuchera 'Palace Purpule', Helleborus niger, Hosta 'Frances Williams', Veronica 'Crater Lake Blue', Hakonechloa macra var. aureola, Polygonatum odoratum var. pluriflorum, Aconitum, Hosta 'Patriot'
Tofieldia nuda var. furusei, Aruncus aethusifolius, xHeucherella 'Sunrise Falls', pulmonaria 'lewis palmer’
ヒューケラ'パレス・パープル'、ヘレボラス・ニゲル、ホスタ'フランシス・ウィリアムズ'、ヴェロニカ'クレイターレイクブルー'、黄金フウチソウ、斑入りアマドコロ、ホスタ 'パトリオット'、ヤシュウハナゼキショウ、タンナチダケサシ、ヒューケレラ 'サンライズフォール'、プルモナリア 'ルイス・パルマー'
ヤシュウハナゼキショウはランナーで増えると書いてありましたが、掘り上げてみたらそれらしきものは見当たらず、ホスタみたいに株の周囲に新しい芽が増えていく増殖タイプに見えました。もしかして短いランナーで繋がっていたのかもしれません。また花茎が上がっているのは株の半分だけでした。やはり日当りのせい?
手で引っ張ると簡単に株分け出来ました。花のついてない方の半分は鉢植えにして、もう少し日向で育ててみます。花のついてる方は、石段の脇に移植。元の場所より少しは日当りが良く、道路に面した目立つ場所です。ここの方が見栄えが良い。こんなに綺麗なのだし、鉄平石によく似合います。大株になった時が楽しみです。

石段の上縁の 'パレス・パープル' もヒューケラですが、カッパーカスケイドやファイヤーチーフより育ちが良いです。少しは日当りが良いせいもありますが、たぶん元々日陰に強いのでしょう。
色も渋くて、株も大きくなるし、丈夫だし、昔から人気の品種はさすがに安定感があります。

ヘレボラスはポール・スミザー氏によると夏は休眠中なので日が当たらなくても大丈夫だとか。
それは便利。ホスタの間に植えると相補的でちょうどいいですね、ホスタの葉が無い冬から春にかけてホスタの穴をカバーしてくれて、夏にはホスタの葉陰になっても問題が無いとなれば。
しかしこの場合、この場所は混みすぎてバランスが悪いので、掘り上げてフランシス・ウィリアムズから少し離しました。

株の周囲には零れ種でできたヘレボラス・ニゲルの小苗がびっしりと生えていました。凄い発芽率。オリエンタリスが零れ種で増えすぎる程増えるのは実家の庭で経験済みでしたが、ここはニゲルも勝手に増える土地なんですね。面倒だけどもったいないのでプランターに移植して大木の木陰に置きました。3年後には花が咲くらしいので、それまで待てばニゲルの群落が作れます。ミヤマトリカブトも沢山こぼれ苗を拾いましたので、秋の毒花壇がますます充実する事でしょう。

これらの株の隙間を埋めるグラウンドカバーは、プルモナリア 'ブルーエンサイン' です。
Pulmonaria 'Blue 'Ensign' in April
プルモナリア 'ブルー・エンサイン'
これも耐陰性は抜群です。爆殖こそしませんがジワジワと着実に増えていきます。
こぼれ種で増えるという話ですが、それは一度も見た事がありません。そもそも種ができているっぽくもないんです。この品種は不稔性なんじゃないかと思っていたくらいです。
私はひたすら株分けのみで増やしています。花の終わった花茎でさえ土に埋めておくと根がつきますので。根伏も簡単にできることでしょう。確信は無いですが本体を移植した後のちぎれて残った根っこからも再生してる様に思えますから。
Pulmonaria 'Blue 'Ensign' in Aprilプルモナリア 'ブルー・エンサイン'
斑の入らない濃い緑の葉っぱも、シックなグラウンドカバーとしていい感じだし、春先の真っ青な花も代替品の無いほど素晴らしい青さだし、夏にホスタの葉陰になっても枯れないし、非常に有用な園芸植物です。ガーデンメリット大。
ハーディネス・ゾーンは、サイトによってバラバラな記載です。
HZ 4〜8とか、HZ 3〜9とか、あるいはHZ 2〜9とか。

HZ 2ってマジですか?
年間最低気温の10年間の平均値が-45.6~-40℃ですよ?日本には無いゾーンですよね。富士山の山頂だって最低記録が-38.0℃。最近の10年間の平均最低気温が-30.8℃。(単発の国内最低気温記録は美深の-41.5℃ですが)
アラスカで言うとフェアバンクスがzone 2aです。厳しい土地ですね。そんな所に町があって1年中人が住んでいるのだから凄いとしか言いようが無いです。

そしてパトリオットの下敷きになっていたティアレラも乙女ギボウシも確保して移植。空いた所が少し目立ちます。こんな日陰で育つものって何でしょう?黒竜くらいでしょうか?アジュガ 'チョコレートチップ' でも試してみましょうか。でもきっと来年になれば必要なくなりますね。パトリオットに覆われてしまうでしょう。
エゴポジウムに埋まりつつあったヒューケラも掘り出して、エゴポジウムもごっそり減らしましたが、うーん、すぐに復活するでしょう。もしかして「植えてはいけない」たぐいの植物だったかもしれませんね。いや!ミントに較べればまだましかも。

グラウンド・カバーの植物には要注意ですね。
昔実家の庭で失敗したのは斑入りのグレゴマでした。はびこって、はびこって、植えた苗を覆ってしまうし、そのうち斑が抜けてただの 'カキドオシ' になってしまいました。こうなるとただの雑草です。母が全部抜いてしまいました。

リシマキア・ヌンムラリア・オーレアも畑に仮植えしたら、びっしり隙間無く地面を覆い、確かに強力な雑草除けにはなりますが、あの黄色いカーペットは何処に使えば良いんでしょう。あまり似合う場所が見つかりません。

かといって増殖が悪すぎるとグラウンド・カバーの役に立たないし。難しいものです。気候と土地によっても植物の増え方も変わるし。

ところで、このグラウンドカバーは良いかもしれません。

日本原産のワイルドストロベリー、ノウゴウイチゴ(能郷苺:Fragaria iinumae)です。

この場所に十分な耐陰性と耐寒性があって、ランナーで増える割に増殖が遅い。生えかたも、びっしり地面を覆わないで隙間が多いので他の植物が生える余地がある。背丈が低いので、植栽が覆われてしまう危険も少ない。
はびこり過ぎず、コントロールしやすいグラウンド・カバーになります。
おまけに、日向なら白い可愛い花が咲いて、赤いイチゴも実って、しかも実は美味しいそうですよ。自生地は亜高山帯の湿り気のある日向。
これは、良い選択でした。残念ながらこの日陰の場所では花が咲きませんが。
Hosta 'Bunchoukou', Tiarella 'Happy Trails', Fragaria iinumae, etc.
ホスタ '文鳥香'、ティアレラ'ハッピー・トレイル'、ノウゴウイチゴ、その他

こんな感じに混じり合っている方が、
単一のグラウンド・カバーに全て覆われてるより好みです。
狙ってできたものではなく偶然の賜物ですが。
ヒューケラ類はトレイリングタイプのみ残りました。このタイプの方が生存競争に強いようです。本体が日陰になってもランナーで逃げられるし。あ、そう言えばカッパーカスケイドもトレイリングタイプでしたね。あれは場所が悪すぎましたかね。これでこのボーダーから赤とオレンジが無くなりました。
寂しいんですけど。ま、慣れるでしょう。
x Heucherella 'Sunrise Falls'
ヒューケレラ 'サンライズフォール'
レスキューしたティアレラ・ウェリーはシーガルの門の左の門柱の下に植えて、パレス・パープルの後ろの、はびこりすぎたヴェロニカ・クレイターレイクを減らした後には、イコロで買って来たバイカイカリソウ(梅花碇草:Epimedium diphyllum)を植えました。黄緑色の葉っぱが可愛いですが、ずっとこの色のままでしょうか?
Heuchera ’Palace Purpule', Epimedium diphyllum, Hosta 'Cherry Berry', Heucherella 'Gunsmoke', Ajuga reptans ‘Vanilla Chip’, Tiarella wherryi, ect.
The large hosta behind them is plantaginea 'Venus'
ヒューケラ'パレス・パープル'、バイカイカリソウ、ホスタ 'チェリーベリー'、ヒューケレラ 'ガンスモーク'、アジュガ 'ヴァニラチップ'、ティアレラ・ウェリー、等
背後の大きいホスタは、プランタギネア 'ヴィーナス'
シーガルの門の左側のベッドは桜の樹に近くて、桜の根が水を吸ってしまうし雨が当たりにくいしでかなり乾燥します。その上右側よりも日当りが良いので去年植えていたホスタ 'ノーザン・エクスポージャー'は葉枯れを起こしたほどです。その他の山野草も不調。秋に大幅な配置換えをして、乾いた日陰に強いというイカリソウをかき集めてここに植えました。
ホスタも少し桜から離して、かつ日射しに強いプランタギネア系に交換しました。結果は成長も早いし良さそうな感じです。花は純白の巨大な八重咲きで強香。
さてヴィーナスは今年咲くでしょうか。期待してます。