Thursday, 27 October 2016

Aconitum carmichaelii:鳥兜、秋を彩る紫紺の毒花

札幌はもう雪だそうですね。
北海道の庭の様子を聞くと、蓼科はやはり本州だよな〜とつくづく思います。

Rosa 'Scarborough Fair'(Oct.10.2016)
しょっちゅう返り咲く可愛い花のイングリッシュローズ
雪のない冬、HZ 7a、鉢植えで放置しても大丈夫でした
北海道より春が早いこと。北海道にはない梅雨があること。北海道より秋が長く続くこと。

Apis mellifera(Oct.10.2016)
散りかけの薔薇 'ナロー・ウォーター'で花粉を集める西洋ミツバチ
働き蜂の寿命は約2ヶ月(今は気温が低いので多分2ヶ月くらいだと)
こうして外勤に出るのは寿命の後半になってから。
ということはこの蜂は残す所2〜3週間の命、か。

信州では本当にゆっくりと秋が深まってきています。

今年は9月にろくに日照がなかったためか紅葉がパッとしなくて、紅葉を売りにしている観光地にはがっかりな年になりました。

数日前(10月25日)に原村の観測所でこの秋の最低気温0.5℃を記録しましたが、その時うちの辺りでは霜が降りたのかどうか。(かなりギリギリでしたがどうやらセーフだったみたいですね。その時私は東京にいたので見ていなくて)
Delphinium 'Actia'
カネコ種苗のアクティア
素晴らしい連続開花性
クローン苗なので、色や形や花期に全く揺らぎが無い点が不満
サワギキョウのポット苗が10月になってから咲いてきました。
Lobelia sessilifolia(Oct.10.2016)
沢桔梗(サワギキョウ)
以前見たまっきーさんblogのLobelia siphiliticaがうちにあるサワギキョウとそっくりでなんか変だと思っていたらば、私がボーダーに植えたサワギキョウは、良ーく見たらば日本の山野草のLobelia sessilifoliaではなく、Lobelia siphiliticaだと言うことが分かりました。まっきーさんの所のと同じ物でした。
どうりで見分けがつかないはずですわ。ああ。
これも日本の苗屋さんのいいかげんな品種記載のせい。商売ならちゃんと学名表記して欲しいですよー。
写真は、別の所から買った小さい苗のサワギキョウ、こっちが本物のsessilifoliaですね。花期がずいぶん遅かったけど日向ならもっと早くなるのでしょう。山の上の湿原では夏の花じゃなかったかな。

Lobelia siphiliticaは9月初めには咲いてました。
Aurumn bourder garden(Sep.3.2016)
このミッシリした花付き、青紫の棒のよう。茎も太っとく葉っぱは厚く茂る。
どう見てもこれは北米原産のオオロベリアソウ(Lobelia siphilitica)。
何だあ、欲しいとか言ってたらすでに植えてあったのか。
乾燥気味の花壇でも逞しく育ってます。
Lobelia siphilitica(Sep.10.2016)
sessilifoliaと全然違う
よく見ればわかりそうな物ですが
まー、Lobelia sessilifoliaのほうが繊細ですよねー、見た目も多分性質も。そういえば私は自生地で咲く野生のサワギキョウを見た事がありませんでした。見知っていればすぐに分かったでしょうね。入笠湿原や八島ヶ原湿原など、南限の高層湿原が近くにあるのに残念ながら行った事がありません。
水切れしないよう今作っているミニ湿原に植えますよ。特別待遇です。
場所が気に入って零れ種で増えるのを期待。


アコニトゥム・カルミカエリィ(Aconitum carmichaelii )です。
これも場所が気に入ったみたいで、去年植えた小苗がこんなに大きな塊根に成長しました。花期も長いこと。蕾がたっぷりある上にゆっくり咲き進むので。それに一輪の花持ちもデルフィニウムより長いような?
Aconitum carmichaelii 'Spatlese'(Oct.8.2016)
この立派な塊根、これが全部猛毒の塊
(10月30日、Aconitum carmichaeliiは全ての花が終了していることを確認)
アコニトゥム・カルミカエリィ 'シュペートレーゼ'(Aconitum carmichaelii 'Spatlese')。
バイカラーと言うけど境がクッキリしていないので、柔らかな印象です。遠目には薄い紫に見えます。シュペートレーゼは「遅摘み」と言う意味で遅摘みの葡萄で作ったドイツワインのこと。確かに花は何となく葡萄の房のようにも見えなくはない。しかし猛毒。
「遅摘み」の「花」とでも言いたいのでしょうが、どうしたってワインのことを連想しない訳にはいかない言葉ですからその名前はブラック・ジョークに感じますよ。ドイツ人にはどう感じる名前なのでしょうかね。

下は、同じアコニトゥム・カルミカエリイの'アレンジー'(Aconitum carmichaelii 'Arendsii'
最盛期はとっくに過ぎて、種も沢山実っているのに、まだまだ咲きます。
Aconitum carmichaelii 'Arendsii'(Oct.8.2016)

これらの塊根は今年株分けして来年は日向でも咲かせてみますね。現在工事中のフロントガーデンで。
画像検索すると日射しを浴びてギッシリ花をつけて紫色の塊のようになったカルミカエリイが沢山出てきます。あんな風に咲かせてみたいものです。
塊根はナイフでスパッと切っちゃえば良いのかな?汁が顔に飛んだりしないように注意しよう。そんなに水気があるのかどうか知りませんけどね。

店のフロントガーデンに猛毒植物かぁ。
立て札を立てないと駄目でしょうね。

トリカブトあります。植物に触らないで下さい。トリカブトの毒は経皮吸収されます。」
猛毒植物注意!決して植物を素手でちぎったりしないで下さい」
「トリカブトの毒には解毒剤が存在しません。致死量の毒を摂取してしまった場合、知覚・中枢麻痺から、呼吸困難、不整脈を経て呼吸中枢麻痺および心室細動を起こし、死に至ることがあります。」
「万一、子供やペットが庭の植物を口にして死亡しても当店では責任は負えません」

アコニトゥムは種(species)が違っても花がそっくりなので、別種をいくつか同じ所に植えておけば、長いこと同じ花が咲いているように演出できるんですね。狙った訳じゃないけど今年そういう結果になって、「これは良い」、と。
Aconitum napellus(Sep.10.2016)
これは植え場所からしてアコニトゥム・ナペルス(Aconitum napellus)のはず。カルミカエリイより元々少し早咲きなのか、場所のせいか。赤花と白花も植えたのに、赤花は弱いようで枯れ、白花は草刈りしてくれたオジサンにうっかり苅られました(泣)。塊根が生きてれば来年咲くかも知れません。

もっと開花が早いのは、日本産のトリカブトです。
Aconitum japonicum(ヤマトリカブト)(Sep.10.2016)
開花は早い物で8月半ばでした。高山では8月頭から咲いてますから暖地ではもっと遅くなるんでしょうね。

下の写真のはナペルスとカルミカエリイの間に植わっています。日照条件その他はカルミカエリイと殆ど同じ。
Aconitum japonicum
ヤマトリカブト
(Aug.13.2016)

うちの日本産トリカブト、Aconitum japonicum の何かなのだろうとは思いますが詳細は不明です。変種が多くてフォローしきれないのか、山野草店では単に「トリカブト」としか書いてないのが多いです。標準的なのはヤマトリカブトらしいのでその名で書いておきますけど。

洋種トリカブトと違って茎が枝垂れて前の植物にかぶさってくるのが「風情」とも言えるけど、うっとうしいとも言えます。支柱立てようかな、目立たないように。

紫花の後ろの黄色いホスタは'オーガスト・ムーン'(Hosta 'August Moon')、
白花の後ろの青いホスタは'ブレッシンガム・ブルー'(Hosta 'Bressingham Blue')
この組み合わせは狙ってやったのだったか忘れましたが良いコンビでした。


ご存知のように、同じ種でも日向と日陰に植え分けると更に長い期間同じ花を楽しめます。
日陰のイワシャジンです。10月開花。
Adenophora takedae(Oct.8.2016)
岩沙参(イワシャジン)
(私の命名は『ジャパニーズ・ブルーベル』
どう?)
Adenophora takedae(Oct.8.2016)
岩沙参(イワシャジン)
岩沙参は「日本の山野草の中で最も美しい花」とまで言われているそうです。納得がいきますね、この華やかさを見れば。

好みの問題を置いておいても、品種改良していない原種のままで、数ある園芸品種を差し置いて、ホムセンの売り場であんなに目立つんですからね。よく売れてるし。秋に咲く花の種類が少ないからと言う理由もあるでしょうけれど。

か弱そうに見えて相当丈夫です。蓼科での栽培は楽。
水切れしなければ日向でも日陰でも。
ただし花期は日向の方が1ヶ月も早いです。
これが日向の株。9月に咲いてしまいました。
Adenophora takedae var. howozana(Sep.10.2016)
鳳凰沙参(ホウオウシャジン)
正確にはこれはホウオウシャジンですけど近くのイワシャジンといつも同時に咲くので花期は同じです。
(イワシャジンの方の写真が今年はないので代役で。フェンスを立ててくれたオジサンに踏みつぶされて地上部が無くなっちゃいましてね(泣))

これは去年の方が豪華に咲いてました。このヒトたちは肥培しないと素直に反応してあからさまにショボくなるということが分かりました。
ささやかに咲かせて侘び寂びを表現するのもいいですけど、それをやるなら別の場所でやることに。

次はこの小さなブルーベルですが、ラベルにはクッキリと「シデシャジン」と印字してあるのですが
咲いたら「ツクシイワシャジン」でした
山野草店の管理っていい加減な所が多くて困るわー。
葉の形が似てると一旦間違えると花が咲くまで区別出来ないですからね。
Adenophora hatsushimae(Oct.8.2016)
ツクシイワシャジン
秋の山野草って紫色が多いでしょうか?それも青紫で。
花壇が青っぽくて良いですね。
いや私がブルー系を好んで買うからそう見えるだけですね。
こんなド派手なピンクの山野草もあることだし。
鹿子百合:Lilium speciosum(Sep.10.2016)
鱗茎は食用になるそうです
良いこと聞いた
非常用食料として増やしておきましょう

ついでに派手なコンビをもう一つ。
ホスタ 'シェイドファンファーレ'と好対照をなすコバルトセージ(Salvia reptans)。
これも原種だから山野草ともいえるのか。
半日陰でも絶えないのは良いけど倒れまくって花付きは疎ら。
そんな所がワイルドフラワー(山野草)っぽいです。
Hosta ‘Shade Fanfare' and Salvia reptans ‘West Texs Form’
(Sep.10.2016)