Friday, 4 November 2016

Cyclamen hederifolium 'Album':強耐寒性の原種、シクラメン・ヘデリフォリウム 'アルブム'

とうとう初霜が降りました。

数日前から庭の樹々も紅くなってきました。
今年は全然色づかず、このまま葉っぱが茶色くなって落ちるのかと思いましたが、去年よりずっと遅れたとは言え紅葉しましたね。

Aconitum carmichaelii (Nov.4.2016)
carmichaeliiの花は全て終了、と書いたのにこれが残ってました。
'雲南鳥兜'。別名'唐鳥兜'または'花鳥兜'
結局みんなcarmichaeliiの流通名らしいので、
この一本が本当にcarmichaeliiの最後の花。
場所は相当な日陰。やはり育ちが悪く花期が遅い。

原村の観測所(1017m)で午前6時に-0.2℃。
昨夜遅くまでヘッドランプで庭作業していたら、どんどん気温が下がり吐く息も白く、朝には霜だろうと思っていました。
下の畑などの開けた場所ではキッチリ霜柱が立ったそうですが、うちの庭は森の中なので微妙に保温性が良くて、大した事無く、かすかにうっすらした霜が降りただけで花も痛んでませんでした。
駅まで下りる途中で振り返ると、青空を背景に八ケ岳連峰が上の方だけ白くなっていました。昨夜、空は晴れているのに何か雪っぽい物が顔に当たると思ったのはこれだったのかと。
風花ですね。

今朝は晴れ。
風も無く昨日より暖かかったです。折角の庭日和ですが私は東京。

庭は土木工事中(Nov.4.2016)
ベルトランが庭の配電配管工事を頼み、私が石組みと土の整備を頼み、
二組がかち合ってシルバー人材がなんと今朝は4人もいていかにも工事中の雰囲気
昨日は一日中庭工事と低木の移植で肉体労働。日射しは暖かいけど風速4mくらいの風が常に吹いていました。
冬の気配の濃厚な風でした。

秋の花はロングランな所が良いですね。

Geranium 'Rozanne' and 'Lilac Ice' (Nov.4.2016)
ゲラニウム'ロザンネ'及び'ライラックアイス'
ワリキアヌム系統は長く咲く、とは言えもう花は疎ら
しかし晩秋の花のこの色の濃さ
名残り惜しくて姿が乱れても切り戻さなかった
Aster microcephalus var. ovatus 'Kiyosumikongiku'(Nov.4.2016)
清澄紺菊(キヨスミコンギク)
樹下なので霜にも当たらず

サルヴィア・アズレア(Salvia azurea)。
摘心すれば倒れないと言われるけれど、2回も3回も切るのが大変で管理しきれずいつも倒れまくり。

Salvia azurea (Nov.4.2016)
サルヴィア・アズレア

本当に放置で良くて手間がかからず大助かりなのが、
シクラメン・ヘデリフォリウム・アルブム(Cyclamen hederifolium 'Album')

Cyclamen hederifolium 'Album'(Oct.8.2016)

今年は9月10日には咲き始めていました。
桜の木の下にある薔薇の木の株元というこの場所は気に入ったみたいです。順調に生育中。種も沢山できてるようだし、実生苗が3年後には咲くのでしょうか。
今年は何と2ヶ月間咲きっぱなしです。
虫も付かない。病気もしない。秋から冬まで咲く。(多分)増える。
いつの間にか林床で大群落になっていると良いなと楽しみにしつつ放置しています。(11月4日、そろそろ終わりそう)

Cyclamen hederifolium 'Album' (Nov.1.2016)
Ophiopogon planiscapus 'Nigrescens'
シクラメン・ヘデリフォリウム・’アルブム’及び大葉蛇の鬚(オオバジャノヒゲ) '黒龍'

シクラメンの花は形が可愛いんです。毎年冬になると室内用にシクラメンを買い込んでいます。大きいのは好きじゃなくて、ミニばかり。
最近信州のホムセンでは「安曇野」とか「八ケ岳」という名前の耐寒性ガーデンシクラメンが売られていて、ヘデリフォリウムの交配種かなと思っています。-5〜10℃くらいまで耐えられるという売り文句ですが、それではここでは耐寒性不足。しかし駄目もとで一度くらい越冬試験してみましょうか。地上部が寒さでやられたとしても塊根が枯死しなければ多年草扱いで庭植えできるんですが。

今の所庭に安心して植えられるのはヘデリフォリウムだけですね。この種が有って本当に嬉しいです。この花が初秋から晩秋まで咲き続けるのだからヘデリフォリウムだけで十分満足ですよ。(USDA Hardiness Zone : 5a)

ところでシクラメン・コウム(Cyclamen coum)はどうでしょう?
春に咲くならヘデリフォリウムと相補的でちょうどいいと思ったんですが、耐寒性が足りないと知って諦めました。
しかしこのサイト(http://www.sunfarm.com/picks/cyclamencoum-083629.phtml)ではコウムの方がヘデリフォリウムよりも耐寒性が有ると断言していて(zone 5)それが本当なら使えます。おぎはらでは-10℃までと書いてあるけど。

大葉蛇の鬚(オオバジャノヒゲ) '黒龍'(Ophiopogon planiscapus 'Nigrescens')(zone 6)
は、夏に地上部が消える植物の目印になるように一緒に植えています。このヘデリフォリウムとか菊咲イチゲとか。コンパニオンプランツとして良い効果もない替わりに悪い効果もなく、後は美的に似合うかどうか。花は良いとしてヘデリフォリウムの緑の葉に対しては黒が利きすぎて、うーん、似合ってるのか似合ってないのか良く分かりません。ヘデリフォリウムは花と葉っぱが同時には出ないと思ってたんですけど、咲き始めはそうですが後から葉が出て来て結局花と葉を同時に見る事になるんですね。

黒龍は本当に真っ黒ですね。こんなに黒い葉の植物は他にないでしょう。都会的な雰囲気の'黒龍'ではなく、ただの緑の'玉竜'に替える?うーん。(それともヘデリフォリウムのシルバーリーフと黒龍を組ませてコンテナ植えのディスプレイにでもする?でもシルバーリーフの実生苗を沢山育てて白花を選別しないと。うん、10年がかりになるかな、それやると。)
最初耐寒性が不安でしたが'黒龍'はzone 7aで余裕綽々でした。雪が無くても大丈夫。zone 6aだと北風から守られる場所でないと厳しくて、zone 5だと越冬できない場合があるとか。

ついでにジャノヒゲ・タマリュウ(Ophiopogon japonicus 'Tamaryu')もここでは耐寒性十分です。庭を掘っていたら前のオーナーが根締めに植えたらしい'玉竜'の生き残りが出てきました。


黒の次は黄色のカラーリーフ。
カレックス・オシメンシス 'エヴァリロ'(Carex oshimensis 'Everillo')(zone 5)。
大島寒菅(オオシマカンスゲ)の黄葉品種。

近くの黄色いギボウシがもう溶けたと言うのに、これは寒さなど感じていないかの様。ひときわ黄色く目立つこと目立つ事。

Carex oshimensis 'Everillo'
カレックス・オシメンシス 'エヴァリロ'
大島寒菅は安定した強靭さでどんな場所でも安心して使えるんですね。乾いていても湿っていても日陰でも日向でも。
「海岸から山頂まで」OKだとか。しかし想定している山頂はどの山のでしょうか?
黄金風知草よりも日陰での黄色の発色が良いです。文句無しに黄色いです。1年で大分育ちましたが予想したより増殖は遅かったかな。

それでも、これよりは育ちが良かったです。
リリオペ・ムスカリ 'ピーディーインゴット'(Liriope muscari 'Peedee Ingot')(zone 6a)

Liriope muscari 'Peedee Ingot'
ヤブランの黄葉種 'ピーディーインゴット'
育ちが悪かったですねー。生育が早い種ではないとは知ってましたがこれほどとは。もう少し日向に植え替えましょうか。春の芽吹きもすごく遅くて枯れたのかと思いました。
リリオペは他にも'シルバードラゴン'のポット苗を冬に枯らしたこともあるし、地植えのも芽吹きが遅いです。もしかして耐寒性不足?
Hardiness zone 6a との記載。積雪無しだとzone 5では無理だそうです。雪がないとzone 7aの冬でもリリオペには厳しいのかも。

カレックスもペニセタムもグラスっぽい物って見かけは強そうなくせに実は耐寒性が低いものも多くて困るんですよね。


ところで、このグラス(っぽい植物)は?
適度な背丈、細くて柔らかそうな葉、しかも冬でも常緑、強耐寒性。はびこり過ぎて雑草化する恐れのないグラウンドカバー候補の一つ。

Tofieldia nuda var. furusei (Nov.4.2016 )
野州花石菖(ヤシュウハナゼキショウ)
野州花石菖です。
花が咲いていないとイネ科にしか見えませんが、オモダカ目チシマゼキショウ科。昔はユリ科に分類されていたくらいで美しい花が咲きます。

Tofieldia nuda var. furusei:真夏に雪の結晶のような花を咲かせる野州花石菖
Tofieldia nuda var. furusei (Jul.30.2016)
野州花石菖(ヤシュウハナゼキショウ)

7月に株分けして一つは地植え、もう一つはポットで養生。

Tofieldia nuda var. furusei (Jul.30.2016)
野州花石菖(ヤシュウハナゼキショウ)

その結果が3ヶ月後のこのサイズの差。元はポットの方が少し大きい程度だったのに。
肥沃な土、肥料、水やりは欠かさず、高い楢の樹の明るい木陰に置いたポットの株。
しばらくぶりに見た時「このグラスなんだったっけ?」と、自生してる見栄えのいい名無しのグラスを掘ってきたものかと思いました。

Tofieldia nuda var. furusei (Nov.4.2016)
野州花石菖(ヤシュウハナゼキショウ)
地植えの株が全然育っていないのはともかく葉っぱの先端がちぎれているのは何故?
まさかうちの猫が食べたのかなあ。嫌だなあ、毒は無いと思うけど
猫は風知草も喰いちぎって見栄えを悪くしてくれるんですよね

やはりこの地植えの場所は、光が少なすぎるのか乾燥しすぎるのかどちらかでしょう。合わないんですね。
肥料も地植えの方はちゃんとやったかどうか。
任せなさい。今度はもっと明るい湿った木陰、それから湿った日向にも植えて差し上げます。たっぷり堆肥混ぜた良い土で。
涼しくて湿っていれば軽く日向でも行けそうな気がするんですよね。


昨日は、シルバーの方と2人で石とか土とか木の移植とか疲れる大仕事の後で、暗くなってから1人で寄せ植えなんか作ってしまいました。

Rosa 'Parfait Amour', Garden cyclamen, Heuchera 'Palace Purpule' 
and Ophiopogon planiscapus 'Nigrescens'
薔薇'パルフェタムール'、ガーデンシクラメン、ヒューケラ 'パレス・パープル'
大葉蛇の鬚(オオバジャノヒゲ) '黒龍'

もう庭の強制終了まで秒読みのこんな時期に。作ったは良いけどあと2週間くらいの命?
しかし、玄関前に土しか入っていないこんな大コンテナがあるのを見たら、あまりの寂しさに花でも植えたくなるのが人情。

Garden cyclamen, Heuchera 'Palace Purpule', 
Ophiopogon japonicus 'Hakuryu' and Ophiopogon malayanus variegata
ガーデンシクラメン、ヒューケラ 'パレス・パープル'
蛇の鬚(ジャノヒゲ) '白竜' および 竜の鬚 'スノードラゴン'
'白竜'は全然増えませんね。こんなに増殖が遅くては値段も高い訳ですよ。
足りないので仕方なく'スノードラゴン'も使いました。

室内で使うつもりで買ってあったガーデンシクラメンを見てたらどうしてもここに植えてみたくなりまして。
他の材料も皆庭からかき集めて作った即席寄せ植え。
できてみたら結構いい感じ。お客さんが喜びますように。

Garden cyclamen, Heuchera 'Palace Purpule' and Ophiopogon planiscapus 'Nigrescens'
ガーデンシクラメン、ヒューケラ 'パレス・パープル'
大葉蛇の鬚(オオバジャノヒゲ) '黒龍'
このガーデンシクラメンは流石園芸品種だけあって花付きが良いです。黒龍もコンテナ植えなら問題無く良い感じに納まるんですよね。
さて、この「耐寒性」ガーデンシクラメン、八ケ岳農場(富士見町とかかな?)産はいつまで咲いていてくれるでしょうか。

Wednesday, 2 November 2016

Aster microcephalus var. ovatus 'Kiyosumikongiku':清澄紺菊


秋と言えば菊。
私は大輪の菊は好まず小輪ばかり、しかもつい原種を集めてしまいます。

そのうち草原っぽい庭を作って、グラスの間にサルヴィア・アズレアや小菊が咲き乱れるような秋の庭にするのはどうでしょうね。所々にエキノプスやモナルダのボール状の咲きがらが突き出していて、ローズヒップがあちこち鈴なりで、ススキの穂が逆光に光る。
場所はベルトランの作っているアトリエの前なんかが良いのではないかな。西向きの窓から夕日が沈むまでずーっと見える。(夢想)

この八ケ岳西麓の広い斜面は、北アルプスや霧ヶ峰高原などから見ると沈む夕日に真っ向から照らされて長いこと赤く染まって見えているので、私のイメージでは秋のグラスガーデンはここにとても似合うでしょう。

View Yatsugatake mountain range from Kirigamine Heights (Dec.20.2015)
夕日に染まる八ケ岳西麓の広大な裾野。遠くに霞む富士山。
この年は雪が全然降らなくて、これは晩秋どころか12月の写真でしたが、
車山には見事な枯れ野が広がっていました。

最初に買ったのはエゾノコンギクでした。これは正解でした。
背丈も暴れず。乾きにも強く。半日陰に持って行っても余裕で咲きます。野草っぽい場所でも浮かないし、他の栽培品種の間で使っても見劣りしない。
Aster microcephalus var. yezoensis(Oct.8.2016)
蝦夷野紺菊(エゾノコンギク)

しかしこれはもっと濃い色だったはずなんだけど色が薄いなあ。
日照不足か肥料不足?

これはサービス品でやって来たタカネノコンギク。
私の好みからいうと、ちょっと花が付き過ぎですね。花形も健康的過ぎて面白くないし、更には寸詰まりな草姿もイマイチで。少なくともこの場所には似合わないのでどこかに移動するつもりです。時間に余裕があればね。
Aster viscidulus var. alpinus(Oct.8.2016)
高嶺野紺菊(タカネノコンギク)
(箱根菊の高山型変種だそう)
こっちが本家箱根菊です。8月から咲いて、今はとっくに咲き終わっています。
Aster viscidulus(Sep.10.2016)
箱根菊(ハコネギク)
花期が早いのは比較的日向植えだからか、性質なのか(多分性質)。
こっちは好きですよ。疎らに咲く様も、隙間があってビッシリし過ぎない花弁も「野菊」っぽくて。花期が早いのも良い。他の菊がまだ咲いてないですから。
茎はひょろひょろ伸びて自立しなくて、四方八方に倒れた茎が周囲の宿根草の間から再び立ち上がって開花する。その様子がまた「自然」風。花色は個体差があるそうですけどこの個体はほぼ「白菊」でした。

で、
真打ちはこれ。これは私にとって今年一番のキク科の収穫でした。有名な「清澄紺菊」です。
「清澄白山菊」とも呼ばれているけれど、そっちのほうは間違って付けられた名前だそうです。
Aster microcephalus var. ovatus 'Kiyosumikongiku'(Oct.8.2016)
咲き始めの清澄紺菊(キヨスミコンギク)

野紺菊の変種。
野紺菊ならすぐ側に大量に咲いていた野生のものがありますが、花期がもっと早く既に咲き終わっています。
日照条件の違いがそこまで影響してるのか。(あれが本当に野紺菊ならですが、アスター類の同定なんてとても私の手に負えません)

去年9cmポットを植え付けたばかりですが、春・夏と目立たず静かに増殖を続け、花茎が立ち上がって来くるころには結構なサイズになっていました。背はわりと高いです。80cmくらいになりました。

花の形は繊細さがあって可憐。色も後述する様に美しい。花付きは良いです。花付きが良いのは良いけれど、あまりビッシリ付きすぎると人工的な雰囲気がして嫌な事がありますが、これにはそれはない。
花を付ける枝(この場合でもステムと言うんでしょうか?)が長いので花のクラスターが詰まり過ぎていなくて軽い。枝や葉や花がスッと広がって空間を広く使っていて、背後をちょうど良く透かす。
たとえ花壇の最前列に植えたとしても、重たくならないんじゃないかなと思います。

和風洋風いずれもOK。しかも「華やかなのに派手すぎずクドくない、上品、背丈があってボリュームもあるのに軽ろやか、そのくせ風雨に強い、半日陰でもよく咲く」という超重宝なキャラクターです。他の花が少ない秋に咲くという大メリットは言わずもがな。
Aster microcephalus var. ovatus 'Kiyosumikongiku'(Nov.1.2016)
清澄紺菊(キヨスミコンギク)
前夜の雨で倒れ気味なれど
この程度で済むなら雨に弱いうちには入らない
野菊なんてどれもこれも花自体がそれほど個性豊かな訳ではありません。この菊も、薄く紫がかった白い一重の小さな花。(とは言っても紫のグラデーションがかった白い花は綺麗ですよ。咲き進むとツクバネ、と言うかバドミントンのシャトルみたいに花がそっくり返ります)

何と言ってもこの菊の一番の売りは、茎に紫の色素が濃く入っていることに尽きるでしょう。
Aster microcephalus var. ovatus 'Kiyosumikongiku'(Oct.23.2016)
清澄紺菊(キヨスミコンギク)
明るい背景にその広がりのある細い茎がクッキリ黒く浮かび上がる、その様がシャープでクールで野暮ったくない。そう、野菊のくせして地味でも田舎臭くもないんです。とっても垢抜けてる。
「和モダン」というんでしょうか。クローズアップ写真で見るとシックで繊細で、一輪挿しにして茶室に飾ると映えそうな雰囲気。茶室じゃなくて洋風の(ただし高いめの)店に大枝を切ってドカドカ飾ってあっても豪華でよさそう。高級感がある。
所詮たかが野菊なのに。
丈夫で強くて、そのうち増えすぎて抜いて捨てる(笑)はめになるくらいなんでしょうに。

いやいや丈夫なのは何よりですよ。凄く大事。美しさの次に大事。

この菊の、群生させると野草の雰囲気満点で、しかも垢抜けてて、通好みで、都会的植栽にも合う所、使えますでしょう?
(もし迷ってるなら買っときなさいな)私など庭に自生している野生の野紺菊を全面的にむしって全てキヨスミコンギクで置き換えても良いなあ、とか思ってるくらい(手間がかかるのでやりませんけど)。一度植えたらあっという間に増殖して、背の高い目のグラウンドカバーとして大活躍間違い無し。
大丈夫、野紺菊はそんなに質が悪くはありません(ヨモギに較べれば)。引っこ抜くのも楽です。
Aster microcephalus var. ovatus 'Kiyosumikongiku'(Nov.1.2016)
清澄紺菊(キヨスミコンギク)終盤
もういつ霜が降りて強制終了になるかわからない
そんな晩秋の庭を飾る
名残の花
ちなみに11月1日、まだ咲いてます。
でも、残っていた蕾は全部開花しています。
最後の花まで霜に間に合った形ですね。

Thursday, 27 October 2016

Aconitum carmichaelii:鳥兜、秋を彩る紫紺の毒花

札幌はもう雪だそうですね。
北海道の庭の様子を聞くと、蓼科はやはり本州だよな〜とつくづく思います。

Rosa 'Scarborough Fair'(Oct.10.2016)
しょっちゅう返り咲く可愛い花のイングリッシュローズ
雪のない冬、HZ 7a、鉢植えで放置しても大丈夫でした
北海道より春が早いこと。北海道にはない梅雨があること。北海道より秋が長く続くこと。

Apis mellifera(Oct.10.2016)
散りかけの薔薇 'ナロー・ウォーター'で花粉を集める西洋ミツバチ
働き蜂の寿命は約2ヶ月(今は気温が低いので多分2ヶ月くらいだと)
こうして外勤に出るのは寿命の後半になってから。
ということはこの蜂は残す所2〜3週間の命、か。

信州では本当にゆっくりと秋が深まってきています。

今年は9月にろくに日照がなかったためか紅葉がパッとしなくて、紅葉を売りにしている観光地にはがっかりな年になりました。

数日前(10月25日)に原村の観測所でこの秋の最低気温0.5℃を記録しましたが、その時うちの辺りでは霜が降りたのかどうか。(かなりギリギリでしたがどうやらセーフだったみたいですね。その時私は東京にいたので見ていなくて)
Delphinium 'Actia'
カネコ種苗のアクティア
素晴らしい連続開花性
クローン苗なので、色や形や花期に全く揺らぎが無い点が不満
サワギキョウのポット苗が10月になってから咲いてきました。
Lobelia sessilifolia(Oct.10.2016)
沢桔梗(サワギキョウ)
以前見たまっきーさんblogのLobelia siphiliticaがうちにあるサワギキョウとそっくりでなんか変だと思っていたらば、私がボーダーに植えたサワギキョウは、良ーく見たらば日本の山野草のLobelia sessilifoliaではなく、Lobelia siphiliticaだと言うことが分かりました。まっきーさんの所のと同じ物でした。
どうりで見分けがつかないはずですわ。ああ。
これも日本の苗屋さんのいいかげんな品種記載のせい。商売ならちゃんと学名表記して欲しいですよー。
写真は、別の所から買った小さい苗のサワギキョウ、こっちが本物のsessilifoliaですね。花期がずいぶん遅かったけど日向ならもっと早くなるのでしょう。山の上の湿原では夏の花じゃなかったかな。

Lobelia siphiliticaは9月初めには咲いてました。
Aurumn bourder garden(Sep.3.2016)
このミッシリした花付き、青紫の棒のよう。茎も太っとく葉っぱは厚く茂る。
どう見てもこれは北米原産のオオロベリアソウ(Lobelia siphilitica)。
何だあ、欲しいとか言ってたらすでに植えてあったのか。
乾燥気味の花壇でも逞しく育ってます。
Lobelia siphilitica(Sep.10.2016)
sessilifoliaと全然違う
よく見ればわかりそうな物ですが
まー、Lobelia sessilifoliaのほうが繊細ですよねー、見た目も多分性質も。そういえば私は自生地で咲く野生のサワギキョウを見た事がありませんでした。見知っていればすぐに分かったでしょうね。入笠湿原や八島ヶ原湿原など、南限の高層湿原が近くにあるのに残念ながら行った事がありません。
水切れしないよう今作っているミニ湿原に植えますよ。特別待遇です。
場所が気に入って零れ種で増えるのを期待。


アコニトゥム・カルミカエリィ(Aconitum carmichaelii )です。
これも場所が気に入ったみたいで、去年植えた小苗がこんなに大きな塊根に成長しました。花期も長いこと。蕾がたっぷりある上にゆっくり咲き進むので。それに一輪の花持ちもデルフィニウムより長いような?
Aconitum carmichaelii 'Spatlese'(Oct.8.2016)
この立派な塊根、これが全部猛毒の塊
(10月30日、Aconitum carmichaeliiは全ての花が終了していることを確認)
アコニトゥム・カルミカエリィ 'シュペートレーゼ'(Aconitum carmichaelii 'Spatlese')。
バイカラーと言うけど境がクッキリしていないので、柔らかな印象です。遠目には薄い紫に見えます。シュペートレーゼは「遅摘み」と言う意味で遅摘みの葡萄で作ったドイツワインのこと。確かに花は何となく葡萄の房のようにも見えなくはない。しかし猛毒。
「遅摘み」の「花」とでも言いたいのでしょうが、どうしたってワインのことを連想しない訳にはいかない言葉ですからその名前はブラック・ジョークに感じますよ。ドイツ人にはどう感じる名前なのでしょうかね。

下は、同じアコニトゥム・カルミカエリイの'アレンジー'(Aconitum carmichaelii 'Arendsii'
最盛期はとっくに過ぎて、種も沢山実っているのに、まだまだ咲きます。
Aconitum carmichaelii 'Arendsii'(Oct.8.2016)

これらの塊根は今年株分けして来年は日向でも咲かせてみますね。現在工事中のフロントガーデンで。
画像検索すると日射しを浴びてギッシリ花をつけて紫色の塊のようになったカルミカエリイが沢山出てきます。あんな風に咲かせてみたいものです。
塊根はナイフでスパッと切っちゃえば良いのかな?汁が顔に飛んだりしないように注意しよう。そんなに水気があるのかどうか知りませんけどね。

店のフロントガーデンに猛毒植物かぁ。
立て札を立てないと駄目でしょうね。

トリカブトあります。植物に触らないで下さい。トリカブトの毒は経皮吸収されます。」
猛毒植物注意!決して植物を素手でちぎったりしないで下さい」
「トリカブトの毒には解毒剤が存在しません。致死量の毒を摂取してしまった場合、知覚・中枢麻痺から、呼吸困難、不整脈を経て呼吸中枢麻痺および心室細動を起こし、死に至ることがあります。」
「万一、子供やペットが庭の植物を口にして死亡しても当店では責任は負えません」

アコニトゥムは種(species)が違っても花がそっくりなので、別種をいくつか同じ所に植えておけば、長いこと同じ花が咲いているように演出できるんですね。狙った訳じゃないけど今年そういう結果になって、「これは良い」、と。
Aconitum napellus(Sep.10.2016)
これは植え場所からしてアコニトゥム・ナペルス(Aconitum napellus)のはず。カルミカエリイより元々少し早咲きなのか、場所のせいか。赤花と白花も植えたのに、赤花は弱いようで枯れ、白花は草刈りしてくれたオジサンにうっかり苅られました(泣)。塊根が生きてれば来年咲くかも知れません。

もっと開花が早いのは、日本産のトリカブトです。
Aconitum japonicum(ヤマトリカブト)(Sep.10.2016)
開花は早い物で8月半ばでした。高山では8月頭から咲いてますから暖地ではもっと遅くなるんでしょうね。

下の写真のはナペルスとカルミカエリイの間に植わっています。日照条件その他はカルミカエリイと殆ど同じ。
Aconitum japonicum
ヤマトリカブト
(Aug.13.2016)

うちの日本産トリカブト、Aconitum japonicum の何かなのだろうとは思いますが詳細は不明です。変種が多くてフォローしきれないのか、山野草店では単に「トリカブト」としか書いてないのが多いです。標準的なのはヤマトリカブトらしいのでその名で書いておきますけど。

洋種トリカブトと違って茎が枝垂れて前の植物にかぶさってくるのが「風情」とも言えるけど、うっとうしいとも言えます。支柱立てようかな、目立たないように。

紫花の後ろの黄色いホスタは'オーガスト・ムーン'(Hosta 'August Moon')、
白花の後ろの青いホスタは'ブレッシンガム・ブルー'(Hosta 'Bressingham Blue')
この組み合わせは狙ってやったのだったか忘れましたが良いコンビでした。


ご存知のように、同じ種でも日向と日陰に植え分けると更に長い期間同じ花を楽しめます。
日陰のイワシャジンです。10月開花。
Adenophora takedae(Oct.8.2016)
岩沙参(イワシャジン)
(私の命名は『ジャパニーズ・ブルーベル』
どう?)
Adenophora takedae(Oct.8.2016)
岩沙参(イワシャジン)
岩沙参は「日本の山野草の中で最も美しい花」とまで言われているそうです。納得がいきますね、この華やかさを見れば。

好みの問題を置いておいても、品種改良していない原種のままで、数ある園芸品種を差し置いて、ホムセンの売り場であんなに目立つんですからね。よく売れてるし。秋に咲く花の種類が少ないからと言う理由もあるでしょうけれど。

か弱そうに見えて相当丈夫です。蓼科での栽培は楽。
水切れしなければ日向でも日陰でも。
ただし花期は日向の方が1ヶ月も早いです。
これが日向の株。9月に咲いてしまいました。
Adenophora takedae var. howozana(Sep.10.2016)
鳳凰沙参(ホウオウシャジン)
正確にはこれはホウオウシャジンですけど近くのイワシャジンといつも同時に咲くので花期は同じです。
(イワシャジンの方の写真が今年はないので代役で。フェンスを立ててくれたオジサンに踏みつぶされて地上部が無くなっちゃいましてね(泣))

これは去年の方が豪華に咲いてました。このヒトたちは肥培しないと素直に反応してあからさまにショボくなるということが分かりました。
ささやかに咲かせて侘び寂びを表現するのもいいですけど、それをやるなら別の場所でやることに。

次はこの小さなブルーベルですが、ラベルにはクッキリと「シデシャジン」と印字してあるのですが
咲いたら「ツクシイワシャジン」でした
山野草店の管理っていい加減な所が多くて困るわー。
葉の形が似てると一旦間違えると花が咲くまで区別出来ないですからね。
Adenophora hatsushimae(Oct.8.2016)
ツクシイワシャジン
秋の山野草って紫色が多いでしょうか?それも青紫で。
花壇が青っぽくて良いですね。
いや私がブルー系を好んで買うからそう見えるだけですね。
こんなド派手なピンクの山野草もあることだし。
鹿子百合:Lilium speciosum(Sep.10.2016)
鱗茎は食用になるそうです
良いこと聞いた
非常用食料として増やしておきましょう

ついでに派手なコンビをもう一つ。
ホスタ 'シェイドファンファーレ'と好対照をなすコバルトセージ(Salvia reptans)。
これも原種だから山野草ともいえるのか。
半日陰でも絶えないのは良いけど倒れまくって花付きは疎ら。
そんな所がワイルドフラワー(山野草)っぽいです。
Hosta ‘Shade Fanfare' and Salvia reptans ‘West Texs Form’
(Sep.10.2016)

Friday, 5 August 2016

Tofieldia nuda var. furusei:真夏に雪の結晶のような花を咲かせる野州花石菖

Tofieldia nuda var. furusei:野州花石菖
雪の結晶のような、あるいは白い小さな星の様な花を真夏に咲かせるグラスっぽい形の草。
でもグラスではありません。チシマゼキショウ科チシマゼキショウ属。
栃木県のほんの一部に分布する珍しい種。渓谷の岩場に自生しているそうです。
野生のものを見た事はありません。
Tofieldia nuda var. furusei (2016 July 24)
ヤシュウハナゼキショウ
野州は栃木県(と群馬県の一部)の事です。栃木県の古い名は下野の国(シモツケの国)、群馬県は上野の国(コウズケの国)。
一説には、この辺りの野蛮人が大和朝廷に征服されたころ、その野蛮人達が、

1)毛深かったから
2)ヒゲもじゃだったから
3)毛皮を来ていたから

毛人(えみし)と呼ばれ、毛人が住んでいるから毛の国と呼ばれたのだと、どこかで聞いた記憶があります。
が、今改めて調べたら、違う事しか書いてありませんでした。俗説だったのでしょうか。

「えみし」は「蝦夷」とも書かれて、中世以降この字は「えぞ」と呼ばれ、アイヌの人達と後には北海道をさすようになり、今に至ります。

毛の国(栃木・群馬)の住民がアイヌと同族だったという訳ではなくて、大和朝廷から見て野蛮人はみんな「えみし」だったのだろうと思いますが、毛の国出身者としてはなんとなくアイヌに親近感が湧く話です。
Hakonechloa macra var. aureola and Tofieldia nuda var. furusei
黄金フウチソウ
ヤシュウハナゼキショウ
というわけで、栃木県のレッドデータブックでは『準絶滅危惧(Cランク)』、下野の国の固有種にして、下野の国の名を冠した花、ヤシュウハナゼキショウ。

育ててみて思うのですが、乾燥には弱そうですがそれさえ気をつければ全然丈夫です。耐寒性も「-10℃まで」とどこかに書いてありましたが、明らかにもっと強いです。
果たして最低何度まで耐えられるのかは分かりませんが、うちの庭、USDA Hardiness zone 7a (年最低気温の平均値が-17.7〜-15.0℃)で、マルチングほとんど無しでも葉っぱが緑のまま余裕で冬越ししてます。特に今年はろくに雪も積らず、寒風吹きすさぶ北側の道路沿いと言う劣悪な条件下でこれですから。

元々、滝のしぶきのかかるような渓谷沿いで岩にへばりつくように生育してるらしいので、氷漬けになったり、凍結融解を繰り返したりしても平気なんでしょう。
この株は地元の「八ケ岳山草園」で3号ポットを3年前に購入したものです。そのナーサリーは標高はうちより少し高くて、日当りも悪く、うちの庭より寒いと思います。そこでも特に何の防寒措置もなくポット苗のまま外に放置で冬越ししてるそうですから、-10℃までしか耐えられない訳がありません。
それで、暑さに弱いかというとそうでも無いようです。千葉県辺りでも苦労しないで咲かせてるみたいですからね。(これも何処まで南に持って行っても大丈夫なのかは分かりませんが)

鹿の食料として人気があるとも思えないし、外来種に駆逐されている訳でもない。個体数が減っている理由は、ダムや護岸工事で住処を奪われているからですね。こんな花が岩場に咲いていられるような川辺がどんどん潰されているんです。存在理由のない無意味なダムだとかやらない方がマシな護岸工事だとかで。
だからあと100年して人口が減ってアホな公共事業に莫大な金をつぎ込む時代が終わったら、コンクリート護岸なんかあっという間に壊れて補修も出来なくなって、自然状態に戻すしかなくて、そうなればこんな植物も復活してくるんじゃないでしょうか。
Tofieldia nuda var. furusei
ヤシュウハナゼキショウ
涼しげで、美しい花です。
これを苔玉にして玄関に置くといい雰囲気でしょうね。
花期も結構長いです。7月初めに咲き始めてまだ終わってませんから。去年はいつの間にか咲いていつの間にか終わっていて記録がないので今年はいつ終わるのか見極めるつもりです。
Tofieldia nuda var. furusei (2016 July 3)
ヤシュウハナゼキショウ
この株も結構良い株になって来たと思いますが、大株になると高さ30cmくらいになるらしいです。花茎も今は8本ですが、20−30本上がるとか。そうなれば見事でしょうね。
もしかして日当りがもう少し良ければ花が増えるのではないでしょうか。

写真を撮った後で、以前から懸案だったヒューケラのレスキューと残った役者の配置換えをしました。ホスタやヘレボラスやプルモナリアが育って来ているので、隙間ができる事も気にしないで良くなりました。

赤やオレンジのヒューケラ&ヒューケレラは、本当にギリギリで助かった感じです。ここに置いておいたら来年の冬は越せなかったと思います。ブルーのダブルプリムローズもここだと大きくならないので今のうちにレスキュー。

逆にこんもりと丸い丹那チダケサシ(Aruncus aethusifolius)の株は着実に大きくなっていて、来年のためにともう株分けしました。山菜掘りナイフでまっぷたつにして込み合った葉っぱを広げたら株分け前より専有面積が増えました。これ、秋には真っ赤に紅葉するんですよね。日陰過ぎて今はライム色でしかない黄金フウチソウも秋には真っ黄色に黄葉して、その対比が綺麗です。このノースイーストボーダーを作ったのは秋だったので、紅葉時の葉色合わせも考慮して植栽したのでした。

丹那チダケサシとヘレボラス・ニゲルの間にチョロチョロと疎らに混じり込んでいた白斑入りの十和田アシは、全部掘って地下茎から引っこ抜きました。今はまとめてポット植えにしています。これ、今後どうするべきか迷っています。他の植物の間に侵入してポツリポツリとこんな貧乏臭い生えかたをされても嬉しくない。いくら斑入りでもそれでは雑草にしか見えない。もっと塊で生えて欲しいのですが。白斑のグラスっぽい葉物で日陰に強くてコンパクトなもの、他に何か無いか、、、。
Heuchera 'Palace Purpule', Helleborus niger, Hosta 'Frances Williams', Veronica 'Crater Lake Blue', Hakonechloa macra var. aureola, Polygonatum odoratum var. pluriflorum, Aconitum, Hosta 'Patriot'
Tofieldia nuda var. furusei, Aruncus aethusifolius, xHeucherella 'Sunrise Falls', pulmonaria 'lewis palmer’
ヒューケラ'パレス・パープル'、ヘレボラス・ニゲル、ホスタ'フランシス・ウィリアムズ'、ヴェロニカ'クレイターレイクブルー'、黄金フウチソウ、斑入りアマドコロ、ホスタ 'パトリオット'、ヤシュウハナゼキショウ、タンナチダケサシ、ヒューケレラ 'サンライズフォール'、プルモナリア 'ルイス・パルマー'
ヤシュウハナゼキショウはランナーで増えると書いてありましたが、掘り上げてみたらそれらしきものは見当たらず、ホスタみたいに株の周囲に新しい芽が増えていく増殖タイプに見えました。もしかして短いランナーで繋がっていたのかもしれません。また花茎が上がっているのは株の半分だけでした。やはり日当りのせい?
手で引っ張ると簡単に株分け出来ました。花のついてない方の半分は鉢植えにして、もう少し日向で育ててみます。花のついてる方は、石段の脇に移植。元の場所より少しは日当りが良く、道路に面した目立つ場所です。ここの方が見栄えが良い。こんなに綺麗なのだし、鉄平石によく似合います。大株になった時が楽しみです。

石段の上縁の 'パレス・パープル' もヒューケラですが、カッパーカスケイドやファイヤーチーフより育ちが良いです。少しは日当りが良いせいもありますが、たぶん元々日陰に強いのでしょう。
色も渋くて、株も大きくなるし、丈夫だし、昔から人気の品種はさすがに安定感があります。

ヘレボラスはポール・スミザー氏によると夏は休眠中なので日が当たらなくても大丈夫だとか。
それは便利。ホスタの間に植えると相補的でちょうどいいですね、ホスタの葉が無い冬から春にかけてホスタの穴をカバーしてくれて、夏にはホスタの葉陰になっても問題が無いとなれば。
しかしこの場合、この場所は混みすぎてバランスが悪いので、掘り上げてフランシス・ウィリアムズから少し離しました。

株の周囲には零れ種でできたヘレボラス・ニゲルの小苗がびっしりと生えていました。凄い発芽率。オリエンタリスが零れ種で増えすぎる程増えるのは実家の庭で経験済みでしたが、ここはニゲルも勝手に増える土地なんですね。面倒だけどもったいないのでプランターに移植して大木の木陰に置きました。3年後には花が咲くらしいので、それまで待てばニゲルの群落が作れます。ミヤマトリカブトも沢山こぼれ苗を拾いましたので、秋の毒花壇がますます充実する事でしょう。

これらの株の隙間を埋めるグラウンドカバーは、プルモナリア 'ブルーエンサイン' です。
Pulmonaria 'Blue 'Ensign' in April
プルモナリア 'ブルー・エンサイン'
これも耐陰性は抜群です。爆殖こそしませんがジワジワと着実に増えていきます。
こぼれ種で増えるという話ですが、それは一度も見た事がありません。そもそも種ができているっぽくもないんです。この品種は不稔性なんじゃないかと思っていたくらいです。
私はひたすら株分けのみで増やしています。花の終わった花茎でさえ土に埋めておくと根がつきますので。根伏も簡単にできることでしょう。確信は無いですが本体を移植した後のちぎれて残った根っこからも再生してる様に思えますから。
Pulmonaria 'Blue 'Ensign' in Aprilプルモナリア 'ブルー・エンサイン'
斑の入らない濃い緑の葉っぱも、シックなグラウンドカバーとしていい感じだし、春先の真っ青な花も代替品の無いほど素晴らしい青さだし、夏にホスタの葉陰になっても枯れないし、非常に有用な園芸植物です。ガーデンメリット大。
ハーディネス・ゾーンは、サイトによってバラバラな記載です。
HZ 4〜8とか、HZ 3〜9とか、あるいはHZ 2〜9とか。

HZ 2ってマジですか?
年間最低気温の10年間の平均値が-45.6~-40℃ですよ?日本には無いゾーンですよね。富士山の山頂だって最低記録が-38.0℃。最近の10年間の平均最低気温が-30.8℃。(単発の国内最低気温記録は美深の-41.5℃ですが)
アラスカで言うとフェアバンクスがzone 2aです。厳しい土地ですね。そんな所に町があって1年中人が住んでいるのだから凄いとしか言いようが無いです。

そしてパトリオットの下敷きになっていたティアレラも乙女ギボウシも確保して移植。空いた所が少し目立ちます。こんな日陰で育つものって何でしょう?黒竜くらいでしょうか?アジュガ 'チョコレートチップ' でも試してみましょうか。でもきっと来年になれば必要なくなりますね。パトリオットに覆われてしまうでしょう。
エゴポジウムに埋まりつつあったヒューケラも掘り出して、エゴポジウムもごっそり減らしましたが、うーん、すぐに復活するでしょう。もしかして「植えてはいけない」たぐいの植物だったかもしれませんね。いや!ミントに較べればまだましかも。

グラウンド・カバーの植物には要注意ですね。
昔実家の庭で失敗したのは斑入りのグレゴマでした。はびこって、はびこって、植えた苗を覆ってしまうし、そのうち斑が抜けてただの 'カキドオシ' になってしまいました。こうなるとただの雑草です。母が全部抜いてしまいました。

リシマキア・ヌンムラリア・オーレアも畑に仮植えしたら、びっしり隙間無く地面を覆い、確かに強力な雑草除けにはなりますが、あの黄色いカーペットは何処に使えば良いんでしょう。あまり似合う場所が見つかりません。

かといって増殖が悪すぎるとグラウンド・カバーの役に立たないし。難しいものです。気候と土地によっても植物の増え方も変わるし。

ところで、このグラウンドカバーは良いかもしれません。

日本原産のワイルドストロベリー、ノウゴウイチゴ(能郷苺:Fragaria iinumae)です。

この場所に十分な耐陰性と耐寒性があって、ランナーで増える割に増殖が遅い。生えかたも、びっしり地面を覆わないで隙間が多いので他の植物が生える余地がある。背丈が低いので、植栽が覆われてしまう危険も少ない。
はびこり過ぎず、コントロールしやすいグラウンド・カバーになります。
おまけに、日向なら白い可愛い花が咲いて、赤いイチゴも実って、しかも実は美味しいそうですよ。自生地は亜高山帯の湿り気のある日向。
これは、良い選択でした。残念ながらこの日陰の場所では花が咲きませんが。
Hosta 'Bunchoukou', Tiarella 'Happy Trails', Fragaria iinumae, etc.
ホスタ '文鳥香'、ティアレラ'ハッピー・トレイル'、ノウゴウイチゴ、その他

こんな感じに混じり合っている方が、
単一のグラウンド・カバーに全て覆われてるより好みです。
狙ってできたものではなく偶然の賜物ですが。
ヒューケラ類はトレイリングタイプのみ残りました。このタイプの方が生存競争に強いようです。本体が日陰になってもランナーで逃げられるし。あ、そう言えばカッパーカスケイドもトレイリングタイプでしたね。あれは場所が悪すぎましたかね。これでこのボーダーから赤とオレンジが無くなりました。
寂しいんですけど。ま、慣れるでしょう。
x Heucherella 'Sunrise Falls'
ヒューケレラ 'サンライズフォール'
レスキューしたティアレラ・ウェリーはシーガルの門の左の門柱の下に植えて、パレス・パープルの後ろの、はびこりすぎたヴェロニカ・クレイターレイクを減らした後には、イコロで買って来たバイカイカリソウ(梅花碇草:Epimedium diphyllum)を植えました。黄緑色の葉っぱが可愛いですが、ずっとこの色のままでしょうか?
Heuchera ’Palace Purpule', Epimedium diphyllum, Hosta 'Cherry Berry', Heucherella 'Gunsmoke', Ajuga reptans ‘Vanilla Chip’, Tiarella wherryi, ect.
The large hosta behind them is plantaginea 'Venus'
ヒューケラ'パレス・パープル'、バイカイカリソウ、ホスタ 'チェリーベリー'、ヒューケレラ 'ガンスモーク'、アジュガ 'ヴァニラチップ'、ティアレラ・ウェリー、等
背後の大きいホスタは、プランタギネア 'ヴィーナス'
シーガルの門の左側のベッドは桜の樹に近くて、桜の根が水を吸ってしまうし雨が当たりにくいしでかなり乾燥します。その上右側よりも日当りが良いので去年植えていたホスタ 'ノーザン・エクスポージャー'は葉枯れを起こしたほどです。その他の山野草も不調。秋に大幅な配置換えをして、乾いた日陰に強いというイカリソウをかき集めてここに植えました。
ホスタも少し桜から離して、かつ日射しに強いプランタギネア系に交換しました。結果は成長も早いし良さそうな感じです。花は純白の巨大な八重咲きで強香。
さてヴィーナスは今年咲くでしょうか。期待してます。